先生と僕

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「「「お疲れ様ー!」」」

文化祭も無事に終わって、クラスのみんなと打ち上げをすることになった
学校の近くのファミレスで、盛り上がるみんな

「森戸はいいよな、広瀬さんとずっと一緒だったもんな!」

「うん。僕、相手が広瀬さんで良かったよ」

いっつもうっかりしちゃうのを、広瀬さんがサポートしてくれたから
広瀬さんじゃなかったら怒られてたかも
そういう風に考えてたけど

「良かったね、彩海ちゃん」

「彩海ちゃん顔真っ赤だよ〜」

「草食系のフリして森戸も広瀬狙いかよ!」

「へ?」

キャーキャー騒ぎ出す女子達と、急に睨んでくる男子達
僕なにか変なこと言ったかなぁ


「ん?あれって嗣永先生じゃね?」

「え?」


窓の外を見ると確かに嗣永先生が歩いていた

「隣りの人誰だろう。かっこいい人だね」

「うわぁ〜嗣永先生の彼氏かな?」

「俺たちの嗣永先生が…」


嗣永先生の隣りに立っている人は爽やかで背も高くてすごく大人な人だった
二人は楽しそうに笑いながら歩いていて、みんなが言うようにカップルにしか見えなくて

楽しかった気持ちがシャボン玉のようにパチンと消えてなくなってしまった

それからはどうやって帰ってきたのか、気づいたら自分の部屋のベッドに座っていた
嗣永先生の声が聞きたくて、電話をかける


『もしもし』

「…嗣永先生」

『知沙希くん、どうしたの?』

「あの、明日会いたいです」

『…』

「…ももちゃん?」

『…ごめん』

「え?」

『知沙希くん、ごめん。別れよう』

「へ…?」

『ごめんね』


そう言って切られた電話は、もう繋がることはなかった


「なん、で…っ、うわぁぁぁぁあ!!」


僕は大好きな嗣永先生を失ってしまった
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