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「龍神の神子、陽月の巫女が揃った」


銀髪の子はそう言って笑う。


―――うん、なんかめんどくさいことになったね。

目が遠いどこかを見る。

さすが巫女だね。安定のめんどくささだ。


「陽月の・・・巫女?」


桃色の髪のお嬢さんが首を傾げる。

あらかわいらしい子。てかこの三人かわいい。

ん? てか、この女の子二人が龍神の神子なのか。


「なあ憂夜ちゃん、てことはこの子たちはオレら(巫女)ではないと?」


小声で憂夜ちゃんに声を掛ける。


「そうなるね・・・グッバイ微かな希望」

「儚く散っていったな」


あっという間だったな。


「白龍、陽月の巫女って一体なんなの?」

[近くから変な気がする。さっきの奴らと同じ感じだ]


桃色の女の子とほぼ同時に、八卦から風真の声がする。

げ。落ち武者と遭遇すんのかよ。

成仏しろっての。


「・・・神子、ここから離れよう。陰の気を感じる・・・!」

「まだ怨霊がいるのね・・・」


髪の短い女の子が悲しそうに呟く。

ああ、あれ怨霊っつーのか。落ち武者じゃなく。


「なんか、あの怨霊にも深い理由がありそうだな・・・」

「今度は私たちがそれを鎮めるとか?」

「んなまさか」


はっはっは、と乾いた笑いが出る。


「・・・いやまさかな」

「さすがに大丈夫だよね・・・」


マジ顔マジトーンで、二人であせる。


「なら橋姫神社に行こうっ!あの、お二人も・・・」

「あいよ」「うん」


桃色の子に言われた通りに、前を行く三人の後を連いて行く。


―――走って。


「社会人にはきついな・・・!」

「若い子は元気でいいね・・・!」


社会人のババアにはランニングはきつかった。

てか長距離走が無理。

桃色の子がこっちを見る。

さっきから何かとこの子が見てくるが・・・


「あの子、さっきからチラチラ見てくんね」

「あの子って・・・ピンクの髪の子?」

「YESYES」

「そうだね・・・あの子スカート穿いてるね」

「・・・もしかしてあの子もトリップして来たとか?」

「いやまっさかー」


二人でははは、と笑う。・・・


「いやそんなことないでしょ」

「いやわかんねーぜ?」


可能性は無きにしも非ず


「あとで聞いてみっか」

「だね」


あとそろそろ体力が辛い。

いくら鬼修行やって来たとはいえ、動いてないと体が鈍ってくるね!


「神子・・・」[周り気をつけろ]


―――ん?

銀髪の子と、八卦から風真の声が被る。


「・・・っ」


頭がぐわんとなる。

いって・・・今のなんだ・・・?


「真奈美ちゃんどうした?」

「なんか頭痛した」

「風邪?」

「さあ」


「怨霊っ・・・こんなところでも!?
私たちは橋姫神社に行きたいのよ!」


勇ましいな桃の子。

でも女の子を戦わせるわけにはいかんなぁ

腰につけてるカバンから八卦を取り出して、刀に変える。


「・・・え!? 今、何を・・・?」

「何って・・・なあ」


ショートの子に質問されたので、憂夜ちゃんに顔を向ける。


「いや・・・知らないとも言えない・・・
うん、多分通じないと思うけど魔法みたいなものかな!」

「魔法って・・・!?」


桃の子は目を丸くした。

おや、この反応は・・・


[おい、背中]

「あっ・・・後ろ危ないっ―――」

「チッ」


舌打ちする。

刀を片手だけだが握りなおして、そのまま右足を後ろに出す。

その勢いで視界に入った怨霊を横一刀で斬り付ける。


「真奈美ちゃんさすが!」

「お前も働けえ!!」


他の怨霊を蹴り倒す。


「ア・・・アア・・・アアアアア」

「うるさいな!」


イラッときたので袈裟切り。

あっという間に怨霊が光となり、その光は静かに消えてった。

・・・怨霊にしては綺麗な消え方だな


「あなた今封印を・・・!?」

「ん?封印?・・・ああ」


ショートの子に驚かれる。よく見れば桃の子も。

右手で握る刀をじっと見る。

この刀の特性について話した方がいいのかな。

仲間になるならないで決めるか。


「今のは封印じゃないよ」

「・・・封印じゃないって」

「封印じゃないんだ」


銀髪の子の言葉を、そのまま憂夜ちゃんに流す。


[おい、怨霊]


あ。

風真の言葉にパッと周りを見る。

―――桃の子の後ろに怨霊が


「「危ないっ!」」「先輩!」


何か来た。

全体的に緑っぽい奴が。


「譲くん!?大丈夫っ?」

「先輩こそ、大丈夫でしたか?」


「・・・え、あれ誰」

「いや、聞かれても私わからないから」


どうやら桃の子と知り合いらしいが。

ショートの子と銀髪の子を見てみるが、きょとん顔。

再び視線を桃の子と譲くんとやらに戻す。

どうしてここに的な会話をしてるから・・・


「オレらの推測合ってるぽいな」

「トリップのこと?
 ・・・まあそんな話してるけどさ」


一通りこの辺りの怨霊を封印、つーか


「感覚としては祓うだよな」

「祓う・・・?封印ではなくて?」


ショートの子に反応された。


「そうそう。何もなくなる感じ」

「・・・そうだ、白龍、五行の力は戻ってないの?」


桃の子が銀髪の子に話を振る。

五行? て、風火水土・・・じゃなくて、木火土金水だっけ。

それがなんか関係あんのか?


「ううん。五行は戻ってない。戻らない。それが光。
 五行が戻るのは神子の力だけだから」

「・・・一体どゆこと?」

「さあ・・・」


憂夜ちゃんと二人で首を捻る。

譲クンは状況がいまいちわかっていないようで不思議そうな顔をしていた。



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