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「とりあえず自己紹介しよう」


落ち着いてから、真奈美ちゃんが話を切り出す。


「名前知らなかったしね・・・」

「おう」


苦笑いを浮かべる。

それでも一応、ここまでやってきたんだけどね。


「私は、春日望美です」

「私は梶原朔よ」

「有川譲、です」

「・・・」


―――ん?

銀髪の子はきょとんとした顔をしてる。

どうしたんだろ。


「君、名前はどうしたん?」


真奈美ちゃんはしゃがんで、銀髪の子の頭を軽く撫でる。


「名前・・・?」


首を傾げられた。

真奈美ちゃんがこっちを見てくる。

・・・いや、知らないって。私に振られても。


「名前・・・ないの?」

「ううん、ないよ」


確認ということで聞いてみても、首を横に振られるだけだった。

どうしよっか、と真奈美ちゃんと見合う。


「その子は白龍っていうんです」

「「白龍?」」


・・・えっと、望美ちゃん・・・だっけ。

望美ちゃんが話し出す。

なんで知ってんだろ?


「神子がそう言うなら、私は白龍にする」


え、いいの? てか、


「どーいうことなんだろうね・・・」

「知り合いとかか?」

「なんか違うよね」

「うん」


「ところでお二人の名前は・・・?」


有川くんがこんな私たちを見かねたのか、聞いてくる。


「あ」

「いや、"あ"じゃないでしょ"あ"じゃ」


真奈美ちゃんの反応につい笑ってしまう。


「佐風真奈美デス」

「神崎憂夜ですっ」


自己紹介終了!

てことでなんか本題に入る。


「ここって一体どこなんですか」

「ここは宇治川よ」

「宇治川って!?」


有川くんの質問に、朔ちゃんが答える。

ごめん、どこかわかんない。

・・・宇治川・・・


[京都ですよ]


―――京都?

八卦からの水津の声に反応する。

また京都なんだ・・・


「憂夜ちゃんわかる?」

「あ、うんっ京都だよね!」

「うん、一応正解」

「え、むしろ何が違うの」

「惜しいだけだから」


よくわからないよ。

これだか歴史は。


「それでは、さっきの怨霊ってのは・・・?」

「怨霊とは・・・―――」


朔ちゃんがつらつらと話し始める。

怨霊のこと、今どういう時代なのか。

あと龍神の神子についてとか。

龍神の神子については望美ちゃんと白龍・・・くん? も説明してくれた。


「・・・オレらと同じようなモンかな」

「たぶん・・・それよりさ、」

「うん?」


真奈美ちゃんと小声で話す。


「白龍くんって、・・・白龍?」

「・・・聞きたいことはわかるが、その聞き方だとフワフワしてんぞ」

「私ノ言葉ノ引キ出シガ作動シマセン」


冷たい目が返ってきたけど、流して白龍くんを見る。

すると真奈美ちゃんが口を開く。


「なあ白龍、」

「なに?」


真奈美ちゃんは白龍の側でしゃがみ込む。


「君は白龍なのかい?」


真奈美ちゃんも人のこと言えないよ、その聞き方。


「うん、私は神子の龍だよっ」

「龍・・・だって!?」


譲くんが声を上げる。

"神子の龍"ってことは、白龍の神子である望美ちゃんの、ってことで・・・

あれ?それだと―――


「・・・黒龍はいないわ」


朔ちゃんが寂しそうに笑みをこぼす。

白がいるのに黒はいない・・・


「・・・それって聞いていいこと?」

「・・・、消滅したんです」

「それは・・・」


深く聞きたいとこだけど、やめとく。

これはやっぱダメだよね。


「―――憂夜さん達も、俺達と同じで違う世界から来たんですよね」


あ、こういう話、まだしてなかったね。


「うん、そうだよ」

「厳密に言えば君達とも違う世界だが―――それより望美ちゃん、」

「何ですか?」

「君っていつこの世界に来たの?」


一瞬、冷たい風が吹く。

望美ちゃんは目を見開く。


「・・・どうしてですか?」

「いや? 落ち着いてるなーって」


そういやあ譲くんはさっき来たばっかっぽかったよね。

トリップにタイムラグがあったっぽい。

・・・ん? それだったら望美ちゃんはホントにいつ来たんだ?


「それだったらあなた達もじゃないですか」

「いや、私達は慣れてるから」


譲くんの言葉に、笑いながら答える。

さらっと爆弾落としといた。

望美ちゃんの顔を見る。

・・・私達がいじめてるような気分になります。


「・・・まあいいんじゃない?
突然のことで逆に冷静になったとかじゃない?」


言い辛そうな望美ちゃんをこれ以上追いつめてもかわいそうなので、真奈美ちゃんをとめる。


「・・・だな」


納得いってない声だね!

しょうがないけどね・・・心の中で苦笑する。

ひとまず橋姫神社に進行することになった。


「―――あのっ」


小さい声で望美ちゃんに声をかけられる。


「どうして、この世界に来たんですか・・・!?」


望美ちゃんの質問に、二人で目を合わせる。


「・・・何がいい?」

「えっ」

「真奈美ちゃん」

「えー」


楽しそうに笑う真奈美ちゃん。

ただその顔には、明らかにじゃあお前が言えよ、と書いてあった。


「・・・言えることは、望美ちゃん達を傷つけることはしない、ってとこかな」

「憂夜ちゃん寒ーい」

「ええ!? でもそうでしょ!」

「まあね―――って、ことで。
 また落ち着いたら話すよ、ねっ?」

「・・・はいっ」



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