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「ところでお二人は何か戦う術をお持ちですか?」


望美ちゃん達から少し離れたところで、

真奈美ちゃんと歩いていたときに、弁慶さんに話しかけられた。


「一応」

「それとなりに」


それについてさっき話してたし。

・・・てか、これYESって答えてないと追い返されちゃうじゃん!

戦えないのに戦に出るな!って。


「どのように戦われるのですか?」


水と地の能力を使って、て言うとちょっとめんどくさいことになるから、


「刀・・・ですかね」

「やだあなた、そんな危ないもの使ってるの?」

「真奈美ちゃんもでしょ」


しかもそれ、この場にいる人全員に言えることだからね!


「刀、ですか。・・・それは今は持ってないんですね」


苦笑される。

"持ってない"?

心の中で、弁慶さんの言葉を反復する。

手元を見る。

腰を見る。

うん、ない。

そりゃそうだよね、普通、刀とか身に付けないよ。

ここに来るまでには使ったけど、カバンに仕舞ったし。


「・・・どーする?」


真奈美ちゃんに笑顔で聞く。


「・・・どーしましょっか」


口元で笑みを浮かべ、遠いところを見つめる友人。

何か案を探そう、と口を開けると、


「何者かが来る―――伏せろ!」


突然の九郎さんの声に、反射的に体を縮こませる。


「つかホントにどーすんの」


小さい声で真奈美ちゃんに話しかけられる。


「今のうちに刀出すか?」

「うーん・・・でも今更だよね」


だよなぁ、と真奈美ちゃんは肩を落とす。


「景時・・・!」

「兄上・・・!」


ん?

九郎さんと朔ちゃんが声を上げる。

え、何?

辺りをキョロキョロしながら立ち上がる。

二人の視線の先には、緑色のお腹を出した男の人がいた。


「寒くないのかな」

「さあ。ぼくらには見えない腹巻き的なあれをしてるんだよ」

「どこの裸の王様ですか」


譲くんに呆れられた。


「じゃあ譲くんには見えるの!?」

「そもそも、そういう話じゃないでしょう!?」

「残念ながらそーいう話なんだよ、有川くん」

「俺が変みたいな言い方やめてください」

「―――そこで話をしてるのが憂夜さんと真奈美さんよ」


自分の名前が聞こえる。

見てみると、朔ちゃんが私達のことをその緑の人に説明してる・・・のかな?


「憂夜ちゃんと真奈美ちゃんね。俺は梶原景時。 
 朔のお兄ちゃんで、武士というか・・・陰陽師というか・・・その真ん中くらいの感じかな」


そう言って、・・・えと、景時さんは笑う。

すごく誤魔化された気がする・・・!


「朔ちゃん、おにーちゃんいたのか」

「武士と陰陽師の真ん中って、どーいう・・・?」

「そのままだよ〜どっち付かずの」


私の疑問に景時さんはヘラ〜と笑って答える。

・・・なんか、変わった人だなあ


「そんなことないですよ。景時さんはどっちも出来る人なんですよ!」


望美ちゃんはにこっと笑ってみせる。


「望美ちゃん・・・!」

「望美、あまり兄上を甘やかしたらダメよ」


景時さんの感動が地に落ちてった。


「ものは言い様か?」

「んー・・・あ、でも宝玉埋め込まれてる」

「あ、通りでなんか違和感あると思った。つーことは、・・・八葉だっけか?」

「それになるよね」


てことは、神子である望美ちゃんの言ってることは本当になるのかな。


「ていうか、二人共何か持ってるように見えないけど・・・」


景時さんに不安そうな顔をされる。

あ、さっきの話に戻っちゃった。


「それについて話があるのですが」


すると弁慶さんが景時さんを連れて少し離れたとこで話し始める。


「・・・どうする?今の私らスタート時の勇者よりも弱いぜ?」

「刀と守護神使えないしね・・・」


ただのモブに成り下がった。

まあ私達から巫女取ったらただの一般人だしね。

どーしよっか、と唸ってるところで、弁慶さん達が戻ってきた。


「憂夜さん、真奈美さん、これを」


弁慶さんが何か差し出してきた。


「・・・え、」

「これって・・・!」


差し出されたのは、刀だった。


「本来はこのようなことはダメですが、今回は特別です。
 いざ戦が始めまれば、お二人を守ることが難しくなりますから」


申し訳ないですが、と笑う弁慶さん。

ピンチに現れた救済の神様に感謝しかなかった。



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