IF五部

□1.5
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彼女を見つけたのは偶然だった。

外の空気を吸って気分でも変えようと、家から出たら、人が暗闇から現れた。

そのとき、自分の見間違えでなければ、彼女が"浮いた"ように見えた。

新手のスタンド使いか、そう考えた。

オレや、他の奴らに何らかの恨みがある奴が来たのか。

だが、敵ではない。

・・・ボスが今更オレ達を始末しに来るとは考えられないしな。

そう思い、メタリカを発動させ姿を消し、彼女に近付いていく。

彼女との距離はあと10m。

あと5m近付けば、射程距離内に入る。

彼女が一体どんなスタンドを使うのか、用心はするが、
このまま行けば彼女はオレに気付かない内に
始末されるだろう。

そう思った、そのとき

彼女はこちらを見た。

しかし、オレを見つけたわけではない。

じっと、彼女を見つめる。

・・・表情がよく変わる。

誰かと話しているように見える。

・・・自我があるスタンドか?

スタンドならばオレは見えているはずだ。

オレと同じタイプのスタンドか・・・

「その後ろに誰も―――」


彼女は、オレの存在に気付いているのか・・・?

彼女の言葉は誰かに伝えているように聞こえる。

人を探知出来る能力を持つスタンドだろうか

彼女の気は、オレに向いてない。

彼女は、まだオレに気付いていない。

問い詰めるために、メタリカを解除する。

突然現れたオレに、彼女は目を丸くしていた。


「貴様は何者だ」


その言葉を聞くと、彼女は目の色を変えた。

―――警戒

戸惑いは感じれるが、こういう状況に慣れているのがわかる。

彼女の言葉、瞳の奥にある真意からは
オレが何者かと探る様子が伺える。

オレのことを知らない、か。

ならばオレ以外の誰かに恨みを持つものか。

とはいえ、彼女が何者かわかっていない。

ただの一般人であれば、逃がしていたんだが。

ここで野放しにして何かされるより、
自分の手中に置いておく方が楽だろう。


「・・・なら、それを信じよう」


彼女の言葉を受け入れる。

彼女の目から嘘は見えなかった。


「来い」


彼女は呆然と立ち尽くす。

説明が必要なようだ。

そして彼女はそれに承諾する。
何とも言えない、怪訝な顔で。

お互い何者か知らない状態でこれだからな。

無理もないだろう。

「名前は何だ?」


続けて自分の名を告げる。

彼女は目を丸くしてから、眉間に皺を寄せる。


「佐風―――・・・真奈美、佐風」


疑心は人の心を黒くする。



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