短編

□あいし第二弾
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「あれ、そーいやあマリアさんとはどーなったの?」

「またずいぶんと唐突なこと・・・」

いや、今思いついたし。

マルコは白い息を吐き出してから、前を見る。

「マリアとは何もないよ」

意外な返答に目を丸くする。

"何もない"って・・・

「え、付き合ってないの? ウソ、」

「こんなことで嘘吐く必要なんてないでしょ」

呆れたように笑うマルコ。

え、だって、

「氷室さんのために頑張ってたんじゃねーの?

「ま、そうなんだけど、・・・どうにも彼女は侮れなくてね。
 俺が思っていた以上に、賢い人だったちゅう話だよ」

マルコはやれやれ、といった調子で言う。

どうにも意味が分からないが、つまりこれは・・・

「お前にマリアさん以外の好きな人が出来たとか?」

「・・・ホント、アンタは頭が回るね」

お、ビンゴ。

「誰?」

下から覗き込むようにして尋ねる。

マルコは黙ったまま、いつもの笑みを浮かべて私をじっと見てくる。

そしてそれが数秒続く。

「・・・っなんか言えよ!」

「さっきの沈黙がヒント」

「・・・はあ?」

笑みを絶やさないマルコに、眉間にしわを寄せる。

"沈黙がヒント"? どーいうことだ?

口元に手を当てて考える。

「自分のこととなると、途端に鈍感になるのは相変わらずだね」

「あー?」

知るかよ自分のこととか。

―――ふと、頭が冷静になる。

・・・今、何の話してた?

マルコの好きな人の話じゃなかったっけ。

あれ、でも今・・・

「・・・え?」

パッと顔を上げると、前にはマルコの顔。

「―――つまり、そういうことだっちゅう話」



「(さぁ答えは? 愛しい君よ)」



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