BOOK

□砂糖水に溺れて
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どうかもう優しくしないで、















yamada side







ねえ、君が好きです。






「山田ーっ」



・・・大ちゃんの俺を呼ぶ声がする。

どきっ



ああ、どれだけ重傷なんだろう。

その声にさえ反応してしまう。




「なに?」


「あははっ、ただ呼んだだけ!」



"意地悪してごめんねー"と言いながら俺の頭を撫でる。




幸せな、恋人に見えるだろうか?



確かに、今、この時だけはすごく幸せ。

でもそれはこの"一瞬"で終わる。



ーあいつが来た。


同じメンバーの、・・・大ちゃんの本当の好きな人。



あいつは、大ちゃんの手を掴み、俺に"借りるよ"なんて言ってから出て行った。




ああ、もう、なんで。


大ちゃんになら利用されてもいいと思った。

何されてもいい、一時でも傍にいれたら。



でも、優しい君が俺を利用してまで叶えたい恋の相手が、ーあいつだったなんて。




あいつは、俺が、大ちゃんとの恋を叶えるために、・・・利用した。


もしかしたらその恨み?憎しみ?





バタン


扉の開く音がする。

帰って来た大ちゃんは少しだけ胸元が乱れていた。



あいつは、俺に向かって口パクで伝え、何もなかったように出て行く。



"ざ・ん・ね・ん・で・し・た"



あいつは、やっぱり俺に仕返しに。

大ちゃんを・・・、利用してる?



思わずカッとなったが拳を強く握りしめ耐えた。



俺は、何も言えない。

それが一番苦しくて、悔しかった。





「・・・大ちゃん」



なんだか泣きそうで、大ちゃんに抱きついた。




「山田?」



ねえ、ごめんね。

全部俺のせいだ。



大ちゃんは俺が泣いているのが解ったのか、ぎゅ、と抱き締め返してくれた。



本当に、痛いくらいに優しい。



もう好きでもない俺なんかに、優しくしないで。

好きな人が出来たって、もう好きじゃないって言ってよ・・・



多分、大ちゃんは全部解ったとしても許してくれる。


その腕の温もりが、切なかった。





ねえ、君が全て解ってしまうまで、

もう少しだけ。



その隣で愛して下さい。












((その時まで、どうか。))










あいつはご自由にご想像下さい。
管理人的には伊野ちゃん高木さん知念くんの誰かですが←

妙に入り組んでて面倒くさかった((本音


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