BOOK

□開け放たれた蝶
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ねえ、助けてあげるから。










開けたれた蝶








ino sido






腐れ切った金持ちと幕府。

それに対抗して死んでいった仲間達。



そして君は、ー・・・仲間達を殺した、伯爵の息子。





時は明治、洋風な建物と和風な風景が混じり合う落ち着かない町並み。



そんな都心から少し離れた山奥の邸宅。

それは、俺の仲間達を殺した金持ちの一人の伯爵の住まい。



生憎、頭と顔だけは良かった俺はなんとか生き残り、こうして仲間達を殺した伯爵の家でのうのうと過ごしている。

今はもういない親が残してくれた顔のおかげでこの伯爵家に気に入られ、
腐れ切った金持ちに殺された仲間達が生きる術を教えてくれたおかげで仕事にも就けている。



でも、この欲にまみれた金持ち達のせいで大切な人が死んでいったという恨みは悲しみは、勿論あるけどね。



最初は伯爵を殺してしまおうかと思った。

俺だって伊達に生き残ったわけじゃない。




けれど、君を見つけてしまった。




君を初めて見たのは、三年前。

それは最初に伯爵を殺そうと思っていたときだった。



伯爵の隣で天真爛漫に笑う君に、心奪われた。

そしてまた、普段とは違い幸せそうに笑う伯爵を見て、彼が誰なのかはなんとなく解っていた。





「大貴様、本当に優しい方よね」


「ええ、冷たく見える伯爵様も実の息子にはあんな風に笑いかけるのね」




伯爵家お抱えのメイド達の痴話話で、彼が"大貴"というのが解った。

伯爵の息子と言うことも。



ああ、俺はどれだけ悲劇の自分を演じるのが好きなんだろう。

そうさえも思ってしまう。



一目惚れした人が、仲間達を殺した伯爵の息子だったなんて。



もしもこの恋が物語になるのなら、さぞかし人々は喚くだろう。



"可哀想に"。


簡単に想像出来てしまうのもなんだか虚しい。





・・・あれから三年たった今も。

想い続ける自分に反吐が出る。



馬鹿だな、なんで諦めなかったんだよ。



そう思いながらどれほどの広さかも解らぬほどの庭をみる。





「あっ、慧!」



不意の声にびっくりするも、自分の位置からギリギリ見える程度のところにいる、君を見た。




「・・・大貴。どうしたの?」



あれから三年。

ちょうど年頃だった大貴の家庭教師として、勉強を見て欲しいと伯爵に頼まれ、懐かれ。



ああ、これもいつからだっけ。

大貴の笑顔が、作り笑顔だって気付いたこと。


でも、作り笑顔だって気付けたのは、俺に本当の笑顔が向けられていることを意味して。


また、期待してしまうんだ。



ー余計に苦しくなるだけだというのに。





「ねえねえっ!」


「だから、どうしたの?」


「ほら、見て!!」




そう言いながら大貴は包んでいた手のひらを開かせ、綺麗でしょ、と笑う。



・・・蝶、か。


ああ、本当に君は。



その笑顔になんだか居たたまれなくなって"用事があるから"とその場を抜け出す。





ーどうかこれ以上、好きにさせないでいて。











((蝶はひらひらと、空高く舞う))









すいません、思いっきり趣味です←
しかも続きます((爆

明治時代とか本当に好きすぎてもうなんか本当どうしよう(壊)

需要がないかもしれないけど自己満足で書きます(^q^)

三話くらいで終わるといいな←


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