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□甘い罪を犯そう
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あの子に内緒で、ね。







甘いを犯そう








yamada side






あの人は、俺と同じ、彼が好きで。



意識しないことはなかったけど、あんまり話さないし、関わらない。

それはいつのまにかの暗黙の了解だった。




なのに、この状況はなに?





「・・・っ、伊野ちゃん、どいてよ・・・」


「やーだ」




なんで伊野ちゃんが俺を押し倒してるの?

なんで、なんで。



頭の中が?マークで埋め尽くされ真っ白になる。





「大ちゃんが、・・・好きじゃなかったの?」



押し倒されている状況に抵抗しながらそう尋ねた。




「好きだよ。大ちゃんを愛してる」


「っ、なら、なんで・・・っ」




俺を押し倒してるの?



俺はそう尋ねることが出来なかった。

伊野ちゃんの唇で、塞がれた俺の唇。



甘くて、とろけるような感覚に支配される。





「っな、」


「涼介のこと、好きだよ?大ちゃんとは違う意味で」



ああ、伊野ちゃんは。

いつも言うことが難しすぎてよく解らないけど。



今ほど理解できなかったことはない。





「違う、意味って、なに・・・」


「・・・んー、そうだな。
大ちゃんが好き、ってところが好き」


「だからよく解らな・・」




「ー解らなくて、いいよ」





再び重ね合った唇。



あれ、俺。

なんで抵抗しなかった?



・・・抵抗できたハズなのに。






"涼介"。

その声に、その微笑みに囚われて。





俺はワケが解らないまま、甘い誘惑に堕ちていく。


蜜は、何よりも甘い。















((甘さに酔った蝶は、))


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