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□期待させないで泣けてくる
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優しくなんてしないでよ、馬鹿。






期待させないで泣けてくる






arioka side





そんな君が嫌いです。





「大ちゃん、」


「・・・なに?」



普段よりトーンが低い声色で俺の名前を呼ぶ君は、ずるい。

俺の名前を呼んでから黙ってしまった伊野ちゃんに、俺は"だから、なに?"と声を掛ける。





「ー・・・・・」




それは雑音に紛れて聞こえなかった。




「伊野ちゃん、今の、よく聞こえなかったんだけど・・・」


「・・・そっか。うん、大したことじゃないから、いいよ」



よく聞き取れなかったことを謝りながら、不思議に思う。


ー好き、とか言ってくれたりして。


馬鹿だな、俺。
そんなことないな、って自分で笑って誤魔化す。



なんとなく、伊野ちゃんが俺を特別扱いしてるって気付いたときから、俺は伊野ちゃんを意識し始めた。

それから、俺の勘違いかもしれないけど、俺だけに優しい伊野ちゃんにドキドキして。


恋をしたー・・・





でも、見てしまったんだ。

薮くんと伊野ちゃんが、キスしてるところ。



薮くんと伊野ちゃんが仲良いのは知ってた。

でも、それは親友としてだと、信じて疑わなかった。


だけれど。




ああ、もう。

俺、本当運悪いなー・・・


これじゃあ、諦めるしかないじゃんか。



勘違いしてた自分が恥ずかしくて、期待してた自分に腹が立った。

心に穴が空いたみたいに切なくて、じわじわと襲ってくる虚無感が息苦しかった。




それから、諦めようって何回思ったことか。

そして、何回失敗したことか。


もしかしたらあれは夢じゃないか。
そう思おうともした。

でも、違う。


目の前で、見ていたんだ。





「ねえ、伊野ちゃん」



今度は、俺から君の名前を呼ぶ。

俺は深く深呼吸して、やたらに明るく、大きめの声で、こう言った。




「俺たち、ずっと仲間でいような!」



仲間ー・・・

それは、自分に言い聞かせた言葉。


それ以上の、存在にはなれない。




俺は、その時の伊野ちゃんが、とても悲しそうな顔をしていたのを知らなかった。



そして、あの時聞き取れなかった言葉が。





「ー大ちゃん、好き」





君からの想いだったなんて、気づけなかったんだ。












((すれ違いは加速する、))













これも1000hitリクエストでしたー!
あかり様、リクエストありがとうございました(*^▽^*)

いのありのすれ違い、ということでしたが・・・

最後消化不良な終わり方ですね←
管理人、切ないのが大好きなんです(^q^)

でも続編書くかもです。

予定は未定だけど←
続編を書くとしたら、ハッピーエンドかなあ・・・


あとがき、いつも長いですよね、すいませんm(_ _)m

ここまで読んで下さり、ありがとうございました!


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