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□君はもういないのに
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なのに。

いつまでもその笑顔が忘れられないんだ、







君はもういないのに






yamada side





「山田、」



そう言って笑う君の笑顔を、俺はいまでも忘れることが出来ない。

もう、ー隣にいないのに。


振り向けば君がいるような、そんな気がして。



もともと、俺が大ちゃんを好きで、告白して付き合って貰って。

・・・もしかしたら、俺が一方的に好きなだけだったのかな。

ふとそんなことを考えてしまう。




今はもう違う人の隣で笑う君。

もうその笑顔は俺のものじゃないんだ。


そう思うとなんだ虚しくなって。



最初は、親友から。

それから大ちゃんの実は男前な性格とか行動にドキドキし始めて、恋だと気付いて。

あんなに、想っていたのに。


俺の、何がいけなかったの?

それとも、最初から好きじゃなかった?



駄目だ。

ネガティブに考えすぎてしまう。





「・・・だ、山田!!」


「っ、うえ!?」



大ちゃんの大声で現実に戻される。

あ、ずっと呼んでくれていたんだ。


思わずびっくりして、変な声が出ちゃって、・・・ちょっと恥ずかしい。




「あはは、山田可愛いっ」



そういいながら俺の頭を乱暴に撫でる大ちゃん。

身長だってなんだって、ほとんど変わらないはずなのに。

その存在が大きく見えて、手の届かない所に行ってしまったような感覚に陥る。




「止めてよっ、ボサボサになるっ」


「もーなってるし!」


「・・・大ちゃん!」



前までは当たり前だった二人の会話。

それは、今も変わらないけど。


ー恋人だったときは、こんな会話の後必ず抱き締めてくれたっけ。



でも、今は違う。

大ちゃんは"ごめんって!"と笑いながら好きな人のところへと向かった。



ズキッ



今更突きつけられた現実が切ない。

俺はそっと、乱暴に撫でられた頭に触る。



「うわ、ぐちゃぐちゃ」


こうやって変わらない君の仕草が、今は苦しい。



俺は、ぽろぽろと溢れた涙を、知らないふりをした。

いっそ、このまま君への想いも感情も全部、流れてしまえればいいのに。





もうとっくに届かなくなっていたことなんて、知っていたの。

今だって、受け入れているつもり。



なのに、君はもういないのに。


その優しさを忘れることが出来ないんだ、










(忘れたいのに、忘れたくないなんて。)(矛盾だって解っているのに、)











一途な山田さんが泣いているところに∞の可能性を感じるのは私だけ?←

題名ははいちゅー様から頂きました!


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