【長編】 紅の巫女

□⊂第七章⊃
霄太師、私もお供いたします。
1ページ/5ページ




秀麗と影月が茶州へと発ちひと月余りが経った。

「詩嬉も茶州へ向かうのだろう?私と一緒に行かぬのか?」

どこから潜りこんだのか、仙洞省長官室で優雅に寛ぐ龍蓮。

『ええ、龍蓮。私はもう少し後から行きます。まだ時ではありませんので。』

詩嬉に考えがあるのは分かっていたがあくまで新婚。離れがたい。

「…わかった。では先に発つ。名残惜しいが………。」

少し拗ねてみせる龍蓮に、『こういうところは父様に似ている』と思い苦笑いを溢した詩嬉。

『……私もですわ。レン。…………秀麗と影月くんをお願いします。』

「勿論だ。茶州で会おう。」

そしてその翌日、龍蓮は茶州へと旅立った。



―――――――


その頃外朝では吏部尚書についての噂が絶えなかった。


――――吏部尚書が病にかかり出仕できなくなった


――――やっとでてきたかと思えば尚書室で鬱状態になっている


――――黒髪の人形を持って呪いをしている


――――誰かを呪っているのでは…?


………………等々。


『………かなりの噂ですね……。』

このままでは吏部が機能停止になる。

数日帰ってこない絳攸。きっと珀明も邸に帰れていないだろう。

詩嬉はここ数日、父親に避けられていた。

『……そろそろ強制調教ですわね。』

詩嬉は黒い笑みを浮かべて吏部へと向かった。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ