【長編】 紅の巫女

□⊂第四章⊃
父様、一緒に懲らしめましょう。
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「そう?詩嬉は何を課題にするの?」

詩嬉は秀麗の問いに、満面の笑顔で答える。

『そうですね、題名はずばり“朝廷における無駄の排除”…でしょうか。』

すっごい笑顔の詩嬉に、秀麗と影月はなぜか悪寒を感じたのだったーーー。





――――――

そして時が急速に動きだす。

紅秀麗の後見人であった紅黎深が捕縛、そして秀麗と影月はコウ娥桜に監禁された。




■貴陽邵可邸■


『お久しぶりですわ、玖琅叔父様。邵可叔父様、勝手に上がりこんで申し訳ありません。』

「かまわないよ詩嬉、来るだろうと思っていた。」


邵可はそう言って詩嬉に微笑む。


「詩嬉久しぶりだな。……兄上が拘束され、秀麗が監禁された。」

玖琅は詩嬉がこのことを知っていて、この場に来たことを分かってはいたが、あえて状況を口にしてみせた。

『はい。本当は父様と玖琅叔父様に任せるつもりでしたが………私が動きます。玖琅叔父様、ほどほどに、お願いいたしますね。』

詩嬉はにっこり笑い、その場を後にしたーーー。






―――――――

『…主上、“紅の巫女”詩嬉です。入室の許可を願います。』

執務室で書翰の整理に追われていた劉輝、楸瑛、絳攸は思わず動きをとめる。

聞きなれた声だったが、扉の外側に感じる気配は、いつもの彼女の気配とは違っていた。

「…許可する。」

劉輝が告げると視線の先にはいつもの進士服ではなく、白地に禁色である紅を施した巫女姿の詩嬉がいた。

『主上、明日の朝議に“紅の巫女”が出席致します。紅家当主と共に。どうぞ蔡尚書の最期は我にお譲りを。』

そういうと返事を待たずに詩嬉は室を出て行ったーーー。
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