【長編】 紅の巫女

□⊂第七章⊃
霄太師、私もお供いたします。
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―――――――


劉輝は執務室で書簡に目を通していたが、霄太師の急な休暇申し出と茶州の指輪を見て思わず立ち上がった。

「………この腹黒極悪性悪じじい。」

「とゆーことで、しばらく暇を―――」

霄太師が言い終わる前にリン―――とした声に遮られる。

『主上、ご安心下さい。私も霄太師について茶州へ行きますので。』

霄太師は「なにっ!?」とあからさまに嫌そうな顔をした。

「……なぜ詩嬉も行くのだ?」

突然の詩嬉の登場に驚いたが、茶州へ詩嬉が行く目的が分からず、劉輝がる怪訝な顔をする。

『羽羽様と相談しまして。…少し気になる方が茶州にいるのですが、そのままにしておくと後の国政に関わりそうですので仙洞省長官として直接行くことに致しました。』

その言葉に霄太師が僅かに眉をひそめたが劉輝は気付かなかった。

「詩嬉が決めたのなら了承しよう。……くれぐれもこの糞じじいと道中には気を付けてくれ。」

それはまったく問題ありません、という笑顔に霄太師は、もはや一緒に行くしかないことを悟った。


―――――――


執務室を出た二人は薄暗くなった回廊に人気がないことを確認すると口を開いた。


『…という訳ですので、よろしくお願いいたします。霄太師?』

厄介なことになったと心の中で呟いた霄太師だったが、先程の詩嬉の言葉が気になり目を細める。

「…茶州で何をする気だ?」

それに詩嬉は溜め息まじりに答えた。

『…魂の浄化と回収ですよ。私が茶州を離れて更に悪化しましたからね。』

霄太師はそのことではない、という目で詩嬉を睨みつけた。

『…私が気になると言った方ですか?それはお教えできません。…貴方様が私に隠れて指輪に鴛洵様の魂を留めたように。』

チッ、と舌打ちをして指輪を懐にしまう。

「今、指輪をみて知ったわけじゃないだろう。最初から知っておったな。」

どこで気付かれた?という顔の霄太師に詩嬉は笑ってみせた。

『私は魂が見えるのですよ。霄太師が壷から鴛洵様を出す前、亡くなった時点で貴方様よりも早く鴛洵様とはお話させて頂きました。ですよね?鴛洵様。』
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