【長編】 紅の巫女

□⊂第十章⊃
父様、朝賀に出席致します。
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『……流石、秀麗ですわ。あとは工部の攻略ですわね。レン、暫くは貴陽に滞在するのでしょう?』

朝賀も終わり、仙洞省長官室で二人は話をしていた。

「うむ、心の友其の一の邸に滞在予定だ。――――詩嬉、影月のことだろう?」

詩嬉は頷き、重い口を開く。

『私にも助ける術がありません………ですが諦めるのはまだ早いと思うのです。』


龍蓮は黙ったまま、詩嬉を抱き締めた。

誰よりも多くの命を看取り、浄化してきた詩嬉。

そして誰よりも一つの命を重んじる。

茶朔洵を式神にした理由の一つである。

ただ詩嬉にとって、それはあたり前のことで、理由の一つにはならない。

それを知っている龍蓮はただ詩嬉を抱き締めることしかできなかった――――。
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