kadsura

□07 小学五年夏
2ページ/3ページ

そないな夏のある日、スクールで近所のスクールと練習試合をすることが決まった。

その練習試合の説明を聞いてると小学校の高学年と低学年、中学生、高校生が2〜4グループのシングルス、ダブルスに別れてグループ戦そのグループの優勝者が他のグループの優勝者と戦い一位を決めるというシンプルなものやった。

俺の所属してるスクールでは強い人と弱い人を交互に入れらっていった。
ちなみ俺はスクールで今は一番やったりする。スピード馬鹿は最近抑えるてことを覚えたみたいで二番目の位置におる。
俺的にはさっさと学べよやった。

そんなスクールのチーム表を見てると向こうも同じなのかよくふらっと行った大会で聞く名前が程よく上におった。

ふっと、謙也さんのチーム表見とると二度見してまう名前があった。

『白石蔵ノ介』

徐々に呼吸が浅くなっていき、
「白石蔵ノ介」
自然と漏れた相手の名前…

その名前を認識するといっぺんに襲ってきたのは過去のフラッシュバック…

始めてあった日
あの人に告白された日
あの人の家に行った日
あの人が家に来よった日
あの人が部活を引退した日
あの人がほんまに特別になった日
あの人が卒業した日
また、あの人と通うようになった日
ほんで……

俺とあの人がなくなった日


一気に駆け巡った記憶。
寒気や吐き気に冷や汗が大量に吹き出してきた。
乱れまくった呼吸は過呼吸の一歩手前や。

暗示のように落ち着け落ち着けと心の中で言うが落ち着かへん。
それどころか酷くなっていく一方で俺は右手で口元を押さえながら鞄から左手を使い薬を探した。

所詮は精神安定剤。
全てを思い出してからのお守り。
たまにペンダントケースに入れて持ち歩いてるが今はしてなかった。

吐き気が酷く上手く出来へん息苦しさから涙が滲みボヤける視界そないな中で薬を探しても見つからず焦れば焦るほど指先も震え出してた。


はよ、薬を飲まんと!

焦りだけが増えて苦しさからか少しずつ意識が遠のいていき…

小さく漏れた言葉…

「たすけて」

それだけ言って俺は意識を手放した。

最後に見えたのはクリーム色やった気がした。





.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ