kadsura

□03 テニス
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俺が『財前 光』なんだと分かってからはやりたいことは決まとった。

中途半端にほどほどにしか磨かなかったテニスをしようと、

ブログとかもしたいとおもったがもう少し後の方がええと結論付けたがテニスだけならこの年代でもいいだろうと思ったのや。

ただ、きっかけがあらへんかった。

何もあらへんのにおかんに、
「テニスがしたい!」
など言うても無駄やと思うし何より不思議がられる。

兄貴の部屋にテニス漫画でもあればと思ったんは秘密や。

幼稚園にも通う前の3歳児や。
おかんと昼中からテレビを見て過ごしとった。

お昼のニュース番組見てたおかんが、「凄い人やな」と呟きを聞いてテレビを見たらテニスをやってる選手。

テレビの字幕には【日本のサムライ 新たな快挙】と書かれており、おかんに誰か聞けば「越前南次郎よ」と言われた。

俺は繰り返して言うように呟けば確かコシマエのおとんやったよなと少し曖昧な記憶を手繰り寄せた。

テニスをしとる姿はサムライを思わせ同時にコシマエの姿とも被った。

おかんから「テニスやってみる?」と声をかけられた。俺がテレビに食いついとったからやろう。
俺が頷けばおとんにも言わなと言われ、それからはとんとん拍子で話は進んでった。

コシマエのおとんナイスタイミングや!とらしくもなくテンションがあがったりもしとった。




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