kadsura
□08 小学五年秋
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あの日以来、謙也さんは友達が出来てんとか言って俺に話してくる。
あの人のことや。
会いたかったあの人のことなのに俺は嬉しくなくって何故か今は会いたくなかった。
謙也さんには俺のことは伏せてもろてる。
理由は適当にさもあり得るようなことを言っておいた。
それに秋口の今、謙也さんがスクールに来る日は少なくなっとった。
四天宝寺中に入るために勉強中だそうや。
まぁ、テニスの強豪校やから当たり前の流れやな。
伊達眼鏡かけた方……侑士さんからは氷帝学園を受験すると最近のメールできた。
また、一つ物語が動いたんかなと思いながらおった。
そないな俺の中の感情は複雑で会いたかったあの人に今は会うのが怖いのや。
始めは良かった覚えとらんでも知らんでも俺はあの人の笑顔が見えるんやったら…そう思ってたんにすぐ目の前にきたら、俺を知らへんかもしれへんあの人に会うのが怖くなったのや。
[かも]やないな知らへん可能性の方が高い。
最初は違ぉてもあの人に会えたら良かったんに…
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