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□第5話〜俺を信じろ!
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デモア「お父様っ、お父様っ」
メイド「いけませんっ、デモア様、行ってはなりませんっ」
城はパニックに陥っておりました。
現職の大王が部下の謀反によって殺されたという、悪魔界始まって以来前代未聞の事件。
その大王こそデモアの父であり、デモキンの兄であるデモラスでした。
大混乱に陥った城から、なんとか助け出されたデモア。
大好きな父が目の前で殺され、何がなんだかわからないまま数人の部下に城下まで連れられてきました。
デモア「お父様のとこ行くっ、はなしてっ」
部下「なりません。今戻れば姫様も絶対に殺されます。」
部下に宥められながら、入ったのは1件の古ぼけた民宿。
部下「ここで夜になるのを待ちましょう」
どのくらい時間がたった頃でしょうか。
?「デモアっ」
デモア「…おじ様?…おじ様っ!」
デモアはデモキンの胸に飛び込み泣きじゃくります。
デモキン「怖かったろう。兄を殺した者の首は私が必ず落としてみせる。とにかく、今この城近辺にデモアがいるのは危ない。遠くに逃げなさい。必ず迎えにいこう。」
デモア「いやっ、どうして?デモア寂しいよ。」
デモキン「謀反が起こった今、元権力者の家族が生きているとなれば、必ず殺される。とにかく今は逃げなさい。…連れていくんだ」
部下「はっ、」
嫌がり、暴れるデモアを部下達は無理矢理抱きかかえます。
デモア「おじ様っ、デモアもいく!置いてかないで」
視界がだんだんとぼやけてゆきます。
瞼もどんどん重くなり…
視界がはっきりとしてゆきます。
広い草原の真ん中。
すっかり成長し美しくなったデモアが1人歩いています。
すると前から1人の老婆が現れます。
老婆「お嬢さん、1人ですかな?」
デモア「そうだけど」
老婆「面白いことをお教えしましょうか」
胡散臭いばぁさんの話を何故私がと思いながらも、仕方なくデモアは聞くことに
老婆「どの位前のことになりましょうか、あの大王様が部下に殺されるという事件を…」
デモア「……」
老婆「あの事件ののちデモキンが、この悪魔界を支配していることは、ご存知ですかな?」
デモア「…え?」
老婆「街のもの達は噂しておりました、あの事件はデモキンが自ら王の座を手に入れるため、部下に大王様を襲わせたのではないか…と」
デモア「何を言うかっ、無礼者っ。おじ様がそのようなことを」
老婆「ではなぜっ、デモキンはあなたを迎えにこないのか」
デモア「黙れっ、この老いぼれっ!」
老婆「姫様、よく考えて下さいませ、もう姫様は捨てられたのです、デモキンから、悪魔界から」
デモア「うるさいっ、うるさいっうるさいっ!」
老婆「誰もあなたをしらない、誰からも必要とされていない、だから迎えになど来ない」
デモア「やめろっ!」
老婆「それを分かっていながら、認めないのは……お前だっ!」