ODS

□蜘蛛糸の螺旋(改)
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踊る大捜査線ファイナルのF  (腐)!!


湾岸署管轄内で起きた歴代に残る大事件解決から3ヶ月を過ぎようとしていた。 春らしい日差しが降り注ぎ道路のコンクリートの割れ目から新しい命の息吹さえ溢れていた。



  WPS   相変わらず署内は、ひっきり無しに訪れる観光客や違反者、業者でごった返し婦警さえ観光案内受付嬢以上の忙しさで走り回り、此処で働いている警察官が活気づいていた。 良い書き方で言うと。                              ・・・・・・なんてなぁ。



 「青島〜!」「青島君!!」「青島さん!」「青島係長!」「アオシマァサン!!」

2階のフロア刑事課で至る所から聞こえるその名前。 青島俊作、前回の事件で真下署長の息子を救命したという大手柄は立てたモノの、階級特進が有ったわけでもなく賞状と記念品が手渡されただけで係長という役職のままだった。しかし夏の賞与の査定には大きく判断材料になると、高級中華料理を奢らせた真下正義からの情報には自分なりに満足な代償かなっと納得していた。

『んっふふ、夏のボーナス何に使おっかな?  オレから室井さんを誘って久しぶりにディナーとか?何処が美味しいかな・・・すみれさんに聞けば・・・・おっと、ダメだダメだダメだ!!すみれさんなんかに聞いたら絶対に骨の随までしゃぶられ吸い上げられるに決まってる。極秘に室井さんを満足させたいしなぁ。カラダもココロも。んふふ。  』スマホをしきりに弄りながら【2人で過ごす夜のとっておきデートコース】【今からの予約で素敵な夜景の見えるホテル&レストラン】ニヤ付ながら検索している青島の耳元に悪魔の囁きが聞こえてきた。

 「ふっふぅ〜〜ん。そんなこったと思ったわ、冷たいわね青島刑事・・・・貴男が手柄を立てる事が出来、真下署長から高級中華をせしめておいて尚かつ夏の賞与アップの話まで聞いておきながら係長であるアンタは自分の仲間には鐚一文も分け与えないって魂胆なのね。で、あえて“誰様”とは聞かないけれど・・・あっまぁ〜〜い素敵な一夜をねぇ。」

「おごぉぅ!!??  ず 、ずびれ  ざん?   い、 い、 いつからいたのぉかなぁ?  あはは。・・全然気付かなかったよ。」

すみれの声に思いっきり驚き、一気に全身の毛穴から汗が噴き出した。誤魔化す様な苦笑いを浮かべながら恐る恐る聞き返した。

 「えっ?・・・な・何の事?」その質問に無表情のまま見下ろす様にすみれは青島の目の前に立っていた。

 「あたし達団結力は強いし、行動もスピーディなのよ。」

そう話す、すみれの後ろには強犯課のメンバーが見ていた。

 「あはは・・・そぉ・・なんだ。SATやSIT並だね・・・。」

 「そうよ。諦めなさい、   取り調べ室使います。!」そう言い放つと背後にいた和久と王が青島を両脇から抱え込むと引きずる様に取調室に消えていたt。

遠くの方で哀れに消えていく青島の姿を見送る真下正義が居た。

 「せんぱい・・・・許して下さい。すみれさんからボクを守る方法がこれしかなかったんです。」

その真下の姿を見つけたすみれが笑顔で敬礼をした。 

「真下署長、情報提供並び容疑者確保にご協力有り難うございました。」 

「あははははl・・・・大した事じゃ・・・・ないから・・・・。」返す笑顔は引き吊っていた。

   
 取調室で、すみれ達からの執拗な尋問・・事情聴収からようやく解放された青島は湾岸署における、恩田すみれの絶対的な存在に納得せざる終えなかった。
 ひたすら黙秘権を通そうとする青島の態度に

 「青島君・・・常にキミは我々の監視下にあるから何かあれば、 呼ぶから。」

そう言い残し取調室から出て行ったのだ。

  「すいませぇん、むろいさぁん。オレまた遅刻です。でも今回は不可抗力ですから。

1人残された青島は室井への言い訳を遠吠えしていた。




 オフィス街から離れた公園に、室井は先に来ていた。噴水の飛沫が街のイルミネーションに反射し宝石のような煌めきを眺め、次々起こる事件に忙殺されていた室井にとってやっと日常の落ち着きを取り戻した感じでいた。
 こうしていても周りの人々の雑踏も、車の音も気にならない、一人っきりになれるのも良いと思った。
 
 それは今の自分だから言える事なのかも知れない・・・
 昔の自分なら全てを忘れる為に仕事に逃げ込んでいたのだから。人を寄せ付けず孤独を選んだ方が楽だった。ところが、ある日を切きっかけに、最も苦手なタイプの男が自分の中へ勝手に土足で入り込んでかき乱していく。

 まったく、アイツが・・アイツの所為だ。

  「青島・・」


 声に出さず愛しい者の名を呼んでいた。
 
 春とはいえ、夜の帳が降りれば肌寒くなる。寒さに平気な男でも手に息を吹き掛けながらクセなのか、口がへ文字になり唇が突き出した表情で愚痴ってしまう。

「携帯ぐらい掛ける時間も無いのか?。」

腕時計に目を落とし待ち合わせの時間を改めて確認しようとした。
 PM8時45分・・・15分遅刻。だが必ず走ってやって来る、まっすぐに自分だけ目掛けて、大きな犬ッころ様なヤツがあの笑顔で来るのを信じているから、気にならなかった。
 人を待つ事が苦にもならず、逆に心躍る気持ちになるのも遠い昔に忘れていた事に思わず苦笑を浮かべてしまっていた。

「私はヤツに振り回されるのを楽しんでいるのか?」

 いろんな事に置いて自分が青島のペースに巻き込まれている日々を思い出し、結構気に入っているからだ。

 毎日モノクロの生活だったのが、彼と付き合う事でいろんな色が差し込み、少しずつだが心を開くという過去の傷と対峙しする恐怖を克服出来そうな気がしてしまうのだった。


その室井を再び悪夢に陥れようと男が近づいてきた。

 「すみません、今何時頃ですか?」

突然背後から自分に話し掛ける男の声で我に返り、声のする方へ顔を上げ振り向き見た瞬間、室井は驚きのあまり動けなくなってしまった。
 
  「久しぶりだな。・・慎次。」

 フラッシュバックの様に記憶が逆流し、急に口が乾きだし、震える声を喉から絞り出すのがやっとの思いだった。

 「  た・・・・田・・辺・・・せん・・ぱい・・。」

  自分の目の前で佇み、自分の名を呼ぶその男・・・田辺 敦。
 同郷の大学で同じサークルに在席していた2年先輩・・・そして、自分に男同士の求め合う快感を染め上げ。躰にその蜜の味を隅々まで覚え込ませ、突然の結婚という形で自分を裏切り捨て去って行った男だった。

 「懐かしいな、何年ぶりだ?元気そうだな・・オマエ出世したよなぁ?今じゃ大学の希望の星だぞ。  慎次少し痩せ・・。」

 「お、お久しぶりです。・・・田辺先輩。偶然ですね。・・・いつ上京してらっしゃったんですか?・・知りませんでした。」

 田辺の言葉を遮る様に、質問で切り返した。動揺している自分を見透かされない様にその表情は仕事の時以上に厳しく、向ける瞳には冷たく射る様な彩が帯びていた。

 「今も恨んでいるのか?  俺の事。」

 田辺の挑発する言い方にあえて感情的にならない様に話さなければと自分に言い聞かせていた。

 「とっくの昔に忘れた事です。」


 

 「そっか、オマエも未だ若い。今でも躰が疼くだろ?奥の方や前立腺を弄られただけで、ヒイヒイヨガって、イッてたもんな。俺のチ○コを喰わえ込んでヒク付ながら離さないケツマ○コ最高だったから、久しぶりに俺に会って欲しくなったんじゃないのか?」

 イヤらしく歪んだ笑に声を荒げずにはいられなかった。

 「もう止めてくれませんか?!!貴男とはとっくに終わった。一方的に貴男が終わりにしたんだ!!これ以上でもなく以下も無い。」

 怒りが含まれた声色にも動じる事無く更に挑発的な言葉は続けられた。

 「今の恋人とは満足してるのか? 慎次。」

 その言葉に、室井が田辺に掴み掛かろうとした瞬間、目の前に一枚の写真を見せた。

 「憶えてるか?俺たちが思い出を。」

 「そ・・・其れは・・・テープごと燃やしたはずじゃ・・・何故?今頃此に・・・?」

 室井の顔色がみるみる青ざめ、金縛りに逢っているかの様に身動きさえ取れず立ちすくんでいた。

 「懐かしいだろ。残して置いたんだよ。また再会した時に渡そうと思ってね。」


 写真に焼かれた画像は絶対思い出したくない一コマを切り取ったものだった。
 学生だった頃の室井が田辺とのSEXに淫らに耽る姿。自ら両足を抱え込み田辺の男根を深く迎入れ、絶頂に達し悦楽に染まった表情と、自分の男根の先から勢い良くザーメンが吹き出した瞬間の其れに目を背けようとする室井を面白そうに見ながら話し掛けた。

 「初めてイッた時、女みたいな声上げて、何度も痙攣して大量にザーメンぶちまけたよな。オマエ、ケツだけでチ○ポに触らずイクから、オレのチ○ポの味は最高だったんだろ?今の奴じゃオマエが満足出来ないだろ?久しぶりにイカせてやるぜ。」
 
手を差し出す田辺を睨みながら、誘いには答えず聞き返した。

 「どうすれば、返してくれますか?マスターテープは。」


予想していた答えだったのか、表情は変えず 
 「来いよ、同窓会。その時返してやるよ、全て。  その前に1発ヤラせろよ・・くくく。また連絡するから。」

 そう言って室井のポケットに押し込んだ。

遠くから近づいてくる自分を呼ぶ声が聞こえてきた。
  「む・室井さん!どうしたんですか?何かあったんですか?!」

 青島の声で我に返り慌てて冷静さを取り戻そうとした。

「何でもない。遅いぞ青島。」

 「あ、すいません。大丈夫ですか?遠くから見えた室井さんの様子がおかしかったから。」

 動揺を隠し切れていない室井の様子に心配しながら隣に居る男性に目をやった。

 「どなたですか?室井さんの知り合いですか?」

 「知り合い・・・同じ大学の2年上でサークル仲間だったんですよ。初めまして、田辺 敦と言います。宜しく。」
小さく笑っているのを室井は見逃さなかった。
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