番外の番外  (ホミンネタ)

□夏の所為
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K-POPのTPOP人気アーティストの2人のスケジュールを調整するのもスタッフにとっては至難の業。国内外のコンサート、取材、撮影、録音・・・・分刻みの仕事と移動の繰り返し、いくら20代の彼らでも体が幾つあっても足りないし、体調を壊しかねない。気を利かせたつもりで、バカンスも兼ねて撮影もスケジュールを1週間取ってくれたのである。

 

  「はぁ〜〜〜。休養も兼ねての撮影って言ったって・・・・・・・・仁川じゃぁ子供に遠足だし。ゆっくりも出来ないよ。せめて済州島にしてくれれば良かったのに。」

 ホテルのテラスから眼下に広がる景色を眺めながらチャンミンは子供に戻った様に拗ねた口調で独りごちていた。 久しぶりにそんな姿を見たユノは少し嬉しくなった。

 いつもは、スタッフや関係者達が大勢居て『冷静でいつも礼儀正しい好青年』のチャンミンが椅子の背もたれに顎をかけ大きな駄々っ子の様な態度が、マンネらしく愛しく思えてしまった。

 いつもならば、『チャンミン』と呼んでいるのだが此処は誰もいない自分達だけの空間。マネージャーもスタイリストもスタッフも居無い。何部屋もある広い此処にたった2人きりなのだ。

 

 「チャミナ・・」

ユノは軽く呼んでみた。



  「・・・・?・・・・」

 何を言っていたのか聞こえなかったがユノの声がしてチャンミンは振り返った。



 「      マンネ、おいで。    」

 いつもと同じ優しい笑顔と声で久しぶりに聞く言葉だった。



 一瞬心臓の鼓動が大きく鳴った。 バレるのが恥ずかしく、ぶっきらぼうな態度が出てしまった。

 「そう安くボクを呼んだらチップを貰いますよ。何ですか?」

 

 「うん。お願いがあるんだ。こっちに来て。」



 まっすぐ自分だけを見つめている眼差しに抗えず引き寄せられる様に、ベッドに座っているユノへ足を向けていた。ベッドに座って居たユノが自分に向け手を伸ばしてきた動作に、てっきり起こして欲しいのかと思いその手を握った瞬間一気に引き寄せられ逆にユノに押し倒される形でベッドに倒れ込んでしまった。

お互いの吐息が掛かる程ユノの顔が間近にあり、チャンミンの心臓は早鐘を打っていた。



 「喉乾いたろ?何が飲みたい?」

 今まで一度も聞いた事のないユノの口から囁き聞こえた甘い声。チャンミンの中で最後まで抗う為の盾が音を立て壊れた瞬間だった。

季節がそうさせたんだ。このシュチュエーションが・・・何もかもが・・・自分の心の弱さを誰かの所為にして仕舞いたっかった。同時に、トワレと少し汗ばんだユノの香りが鼻孔をくすぐり思考を完全に麻痺させていた。



 「甘い水・・・。」

 かすれた声で答えると、ゆっくりと自分の上から温もりと重みが無くなった。



 「今持ってくるから。」

そう言うと冷蔵庫から飲み物を出す音が聞こえてきた。



  『水なんかイラナイ。  今すぐユノのキスが欲しかったのに。』



 ボンヤリと高い天井を眺めていると隣に愛しい重みが戻ってきた。すると、そっと自分の唇にユノの唇が触れ、ゆっくり重なると少しずつ口の中に冷たい水が流れ込んできた。 ユノから注がれた水は甘く少しハッカの味がして優しく喉を潤していった。

 チャンミンの喉がコクンと水を飲み込むのを確認したユノはそのままチャンミンの舌を絡めた。今迄遠回りしてきた2人の時間を埋める様に深く長く接吻をユノは味わった。

 掠れたため息と共に2人の唇と唇が惜しみ合う様に離れると自然にユノの首に巻かれた自分の腕をチャンミンは外そうとはしなかった。



 「お酒の味がした。・・・甘くてとろけ壮な程美味しいのに、強くてアタマと体が・・・おかしくなってる。」



「そのまま酔ってしまえばいい・・・オレに・・・。」



  長い間掛かった時間が重なった気がした。いつもどんなときも隣に居た相手の手が自分の髪を愛おしく撫で、躰を快感に染めていく。唇が歓喜熱を吹き込む。そして心音が1つになった瞬間真っ白になった。
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