ODS

□7話の妄想
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  その問いにも答えられない室井に、少し困った表情で語りかけた。

 「何故室井さんは自分の心をひとりぼっちにさせたがるんです?  事件の時は上との間に入ってくれたりする。  そんなアンタの姿を見て自然に『この人の傍にいて支えたい』そう考える様になってた。  男同士だからって、考えもしなかったのに。」

 「オレ、どうして良いのか分からないまま、自分の気持ちだけ先走っちゃって、室井さんの気持ちや立場なんて思う余裕がなかった。でも、気付いたんだ。オレを見るアンタの眸はいつだってオレを呼んでいる事。
 だから、オレはアンタが求めてるなら、ずっと傍にいる。

  室井さんは、オレの全て欲しくないの?」

 その言葉1つ1つが室井の胸の奥に染み込み折れそうになっていた。

 頷いてしまえば楽になる。・・・・そんな我が儘を言えばきっと苦しさから解放される、ただその代償に傷は更に深くなる。そう考えると、越える勇気さえ臆してしまう。 逆に、今迄自分が心を押し殺しながらも青島だけを見つめていた事を後悔した。


 
 『慎次の眸は俺を虜にさせるぐらい艶っぽく見るなぁ。そんな誘いをされたら、どんな男も口説きに来るぞ。』

 大学にいた頃恋人だったサークルの先輩にそう言われた事を思い出した。

  『お前の相手を見つめる眸は相手をその気のさせ狂わせる、誘う眸だ。・・・』



 あれから、絶対に“好きになる”という感情は封印しあえて避けてきた。

  ところが突然目の前に現れた“彼”という存在が知らず知らずのうちに、心の封印していたカギを壊していた。

 本庁との合同捜査で顔を合わせる数日間の逢瀬。 会話もほとんど交わさないこともある中で、“彼”の姿を捜し視線で追ってしまっていた。“彼”の一挙手一投足、コロコロ変わる表情、自分を見つめ返す暖かな眼差しに気づかないフリをしていたのだと。

 自分は意地が悪い人間だと思った。心の中では否定と肯定が混在し、曖昧な形のまま傷を引きずり、無意識に相手へ気付かせる様なサインを送っていた事が。 


 「室井さん。」

 耳元で優しく呼ばれ顔を上げると、お互いの息が混ざり合う程の距離に、青島の暖かな眼差しとぶつかった。

 「オレね、待ってます。 ずっとこうして待ってます。今はまだ【ひとりぼっちの室井さん】は戸惑っているから、オレの手を握れない。だからオレ、室井さんがオレの手を握り返してくれるまで、変わらず待ってます。」

 先程の乱暴な接吻ではなく、甘く柔らかい接吻を重ねてきた。

 その唇が耳朶、顎、首筋に接吻の雨を降らせながら右手が室井のスラックスに伸びていた。そしてお互い同じモノを持っている故、知り尽くした形状に形を這わせ、刺激を与え始めた。

 幾重の布越しからの鈍い刺激にもゾクリと甘い電気が腰に走った。

 その刺激に反応し腰が小さく揺れ思わず

 「ぅんっ」

 押し殺す様な声が室井の口から漏れた。

 「でもね、・・・室井さん・・・。」

 青島の熱を吹くんだ言葉が囁かれた。

 「オレって1つの事なら我慢出来るけど、2つも同時に我慢しろって言われたら・・・其れはムリなんですよね。  特に好きな人の事だと・・・『待て』や『お預け』は。」

 青島のそんな言葉に一言でも言い返そうと、ジワジワと襲ってくる刺激に声を立てない様耐えながら

 「既成事実だけでも・・・か?」

 「はい。だって、室井さんオレの事好きだって確信持ってますもン。  だからオレの事拒否しないで受け入れてくれるって。」

 「と言う事で、・・・嫌がらないで覚悟して下さいね。」

 凶悪犯を逮捕し、取り調べに挑む時のあの目つきで室井を見つめていた。

自由の利かない室井の躰にゆっくりと指を這わせ、ズボンのベルトに手を掛け外すとそのまま迷うことなく少し硬さを持った男根を外気に曝した。

 「ま・・・ってくれ・・・あおしま。」

 上擦った声で、次に何をされるのかを止めさせようと青島の名を呼んだ。

 自分の名を呼ぶ愛しい人の声に返事もせず、立ち膝をつき室井の勃っているモノの先端を舌で舐め上げた。

 「 ンあぁっ!!」

 小さい声と同時に躰が飛び跳ね腰が逃げた。

 「 オレ・・・男でも貴男となら一緒に堕ちても・・     いいと思ってる。」

 「立場とか、年とか、関係なくて  室井慎次・・・・アンタじゃなきゃ、きっとオレ駄目なんだと思う。」

 そう言うと、今度はじっくり味わう様に肉棒を含み舌で刺激を与え始めた。

 ジュルッ。

 淫靡な音が聞こえその度に、室井の細身の躰はしなやかに反り、快感と青島から逃れようとしていた。

 嫌でも思い出す、自分の躰に染みついた男同士のSEXの快感。

 封印していた自分の中の魔物が再び目を醒ましたら・・・知られたくない。・・・
 そんな想いが、漏れそうになる声を必死に押し殺していた。

 「  室井さん、気付いてよ。オレはもうアンタだけのモノなんだっていう事に。 」

 切なげに眸を閉じ、長いまつげを震わせ唇をきつく噛み零れそうになる声を我慢していた。
 
 青島のぎこちない自分への愛技の1つ1つに愛情が伝わり、徐々に自分の仮面が剥がされていきそうだった。

 「アァ・・、はっ・・・ウンッ・・あぁっ。」

 躰の熱が逆流し一点に集中し今にも溢れそうな所まで来ていた。

 「あおしまぁ・・・もっ・・・もう・・!」

 「・・なに?・・室井さん、言って・・・。」

 「   で・・・るぅ・・・」

 乱れる息の下の声で、縛っていたネクタイを緩め室井を壁に向かわせた。そしてズボンを膝まで下げ、背後から室井に覆い被さり左手は壁に着き右手を室井の男根に添え擦りだした。

 「・・・オレのも握って・・・室井さんと一緒にイキたい・・・」

 耳朶を甘噛みしながら上擦った声で囁く声におずおずと手を延ばし雄々しく猛っている青島のオスに刺激を与え始めた。

 「 はぉっ・・・んン・・気持ちいい・・室井・・さん・・。」

 「・・あっ・・もう、・・」

 「・・もう少し・・・まって・・・む・・ろい・・おぉ・・」

  「一緒に・・・逝こ?・・・むろい・・さん」


 お互いがお互いの昇り詰めている速さを感じ合い、擦り合うリズムが重なりまるで躰が解け合った様だった。

 「あおしまぁっ!  もう、イクっ!」

 小さな悲鳴と同時に背後から低く唸る様な喘ぎ声を上げ、青島も痙攣しながら勢い良く白濁の液を迸らせた。

 息が乱れる中お互い向き合い、強く抱き合いながら深い接吻を求め合った。

 「  ねぇ、室井さん。  」

 優しく室井を抱きしめながら青島は安心した様な声で話し掛けた。
 
 「  ん?  何だ?  」

 広く逞しい胸に抱きしめられ、青島の鼓動を感じながら自分も一時の幸せに浸っていた。

 「  オレ達・・・2人だけの秘密持っちゃいました。   絶対に誰にも知られちゃいけない2人だけの共有の秘密・・・
 室井さんと、オレだけ。 世界でたった2人だけ・・・嬉しいッス。」


 「あぁ・・そうだな。私とオマエだけの秘密・・・」

 「オレだけ?室井さんがあんなにオレに甘えてくるのも?」 

 「あんな表情で誘うのも、オレだけ?」

 「オレだけ、ずっと見つめてくれる?」

 室井は初めて自分が『愛されている』と感じた。
 
 『  オレはもうアンタだけのモノだって事気付いてよ。』

 青島の言葉を噛みしめながら愛される事のくすぐったさが心地良かった。

 「誰にもナイショですよ。」

 いたずらぽっく笑う青島の笑顔に釣られ自分も頷き見つめ返した。


               Fin



 オフィスラヴ ですから。
  
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