オフィスビルが建ち並ぶ場所より一駅離れた飲屋街。まるで人目から隠れ様に地下バーはひっそりと存在し、店の中は男同士が出会いを求める場所だった。

店の奥のカウンターに無表情で男はタバコを燻らせていた。


 「で、要は嗅ぎ付かれたからその前に『棄てろ』という事か。」独り言とも聞こえるつぶやきに隣に座っていた中年サラリーマンの男が手を握り返してきた。


 「そりゃ俺たちはトカゲのしっぽみたいな存在だからな。ただ『しっぽの骨』すら在った事も知られてはいけないんだと。」自嘲気味に笑い握っていた手を離しサラリーマンの男は振り返る事なくカウンターに金を払い店から出て行った。


残った男は手渡されたマイクロSDカードを自分の携帯にセットし店を出ようとた。その時、男同士の客の中に偶然1人の人待ち顔した客に目が奪われてしまった。


 好みの顔や躰だけではない、この男の内面から放たれている何か。まるでメスのフェロモンに引き寄せられたオスの様に、イ・チェギョンは男の横に座った。



「アンタ今、すごくエロくて良い匂いさせてオレを誘ったよな?」



突然自分の横に座ったかと思った矢先に男の口から言われた言葉にユン・スチョルは露骨に不快感を露わにした。


 「確かに私は貴方の事を好みのタイプだとは思い見つめていましたが、単なるSEXがしたいだけなら、お金を払えば私でなくとも良いでしょう?」静かに答え視線を客に向けた。


 「アンタ・・・いや、失礼。オレはイ・チェギョン。  でも君は自分で気付いてないのか?香水か何か使って無いのなら、この香がオレみたいな紳士的じゃ無い野郎をおびき寄せちまうって事。」イ・チェギョンの少しニヤついた表情に呆れてしまった。


 「?・・・フフッ。おかしな人だ。 私はユン・スチョル。   イ・チェギョン、私には貴方の言っている意味が理解できませんね。残念ながら。」


 薄暗い照明の元、自分に向けられたユン・スチョルという男の思い詰めた瞳を見つめた瞬間、さっき嗅いだ香りが強烈に脳の奥を刺激し、全身に広がり性欲が起きる感覚に襲われた。


 「まただ!このニオイ、ヤベェ勃っちまう。  おい、ユン・スチョル俺と一緒に来てくれ。頼む。」そう言うと有無を言わさず強引に腕をつかみ、店の外にでてタクシーに押し込んだ。



タクシーの中で冷静なスチョにと酔っぱらいの様に顔が紅顔したチェギョンが絡んでいるかの様になっていた。



「スチョル。アンタのこの匂い一体何なんだ?」その問いには知らぬ存ぜぬ、黙んまりを決め込むスチョル。



2人の様子にたまりかねたドライバーが「お客さんどちらまで?」怯えた声にチェギョンはスチョルに訪ねた。


 「俺の家で良いか?」低い声のイ・チェギョンに頷くしかなかった。


しばらくして 2人を乗せたタクシーは、闇に姿を消した。
2人を乗せたタクシーは30分程走り6階建てのマンションの前で停車した。



  「12万ウォンになります。」バックミラー越しにチェギョンを見ておそるおそる声を掛けた。



 「あぁん?」聞き返しただけだったのが、チェギョンと目が合ってしまい恫喝されたのだと勘違いしたドライバーは半泣き顔で懇願してきた。



  「勘弁してくださいよぉ、おきゃくさん。頼みますって、12万ウォンですって」



ドライバーの様子も気に留める事もなく財布から13万ウォンを出して



 「おぉ、ありがとよ。チップもはいってっから。」そう言い残し手渡すと、スチョルを連れ出しマンションに向かって歩き出して行った。



 185p近くある身長と格闘術をしていたと確信できるほどの体格の良さや強面の顔立ちは、普通の人でさえ彼を前にすれば恐怖を感じるだろう。一方半ば強引に連れてこさせられたユン・スチョルも175pは身丈もあるし、筋肉タイプではないが引き締まった体格をしている。一体世間の誰がこの2人がこれから男同士のSXEするなど想像できるだろうか。



 スチョルの手を握りしめながら早くなる歩きは、いつものワンナイトを楽しむ余裕のチェギョンではなかった。

ただ今はユン・スチョルという男とSEXがしたくて堪らなくなっている自分を止められなかった。



  『 くそっ!ザマねぇな。まるで腹を空かせたハイエナだ。!!』



 自分でもどうしようもなく無様に興奮している事に、腹を立てていた。



家の前に着きもどかしく鍵を開け雪崩れ込む様に部屋の奥に辿り着くやいなやチェギョンはスチョルを抱き寄せ唇を重ねながら荒々しく舌を割り込ませ、スチョルの舌を絡め貪った。



「・・ふぅっ。・・あっ・・・・」



 チェギョンの舌に口腔を犯され感じながら閉じていた眼を開けチェギョンを見つめた。



「・・・?・・」スチョルの視線に気付き目を合わせた瞬間、



「!!!」



さっきの匂いがダイレクトに脳を刺激し、それは電流の様に下半身を直撃し口吻だけで射精せてしまった。



スチョルを引き離し乱れる息の下、チェギョンはうなる様に声を絞り出した



  「お・・・お前は何者だ?・・・。」



その問い掛けに、スチョルの瞳に影が落ちた。



 「・・・・私?・・・そう、私はバケモノなのかもしれない。・・・」



スチョルのその言葉が何を言っているのか理解できず、チェギョンは目の前にいるスチョルという男を見つめるしかなかった。
「バケモノだって知っても?・・・勇敢な人かバカな人かどちらかだ、イ・チェギョン。」




 俯いていた顔を上げ先程まで陰を落としていた瞳に妖しい光が宿り挑発する様にスチョルはイ・チェギョンを睨み付けた。




 「オレを試すつもりか?ハハッ・・お笑い種だ!全くバカにしてるのはお前だ。そんな風に毎夜SEXの相手を煽ってんのか?さっき射ったからって萎えてないぜ。オレはお前とSEXがしたくてたまんねぇんだ。」

 

 チェギョンは上着とズボンを乱暴に脱ぎ捨てるとスチョルを壁に押さえ付け、避ける隙さえ与えず先程の口吻より優しく唇を重ね深くじっくりと味わっていた。




 巧みに舌が自分の理性を引きはがしていくと同時に、更に増した硬さと質量の男根を擦り付けてくる愛技に感じ、全身の力を緩め自らも絡めてくる舌に応えた。




チェギョンは自分の行為に少しずつ反応し感じている表情を見つめていた。

 感じている時に躰をピクっと震わせながら、軽く眉を寄せ唇が離れ小さく声が漏れる。そして堪らないくらい甘い吐息全てが欲しいと思った。




 『バーで男を誘っておいてベッドイン直前に拒みやがる。そこらの娼婦より質がワリィぜ。でもよ、今オレがオマエを手に入れた事が今夜は最高のディナーだ。』




 全裸にしベッドルームに連れて行こうとした時乱れた息で小さく囁いた。




  「シャワーを使わせてくれ。」




 チェギョンは素直に躰を離しシャワールームを教えた。男同士のSEXにもルールとマナーは有る、お互い安全なSEXをする為だ。チェギョンはベッド横の引き出しから、友人の土産に貰った日本製スキンと潤滑ゼリーを用意した。シャワールームの方を眺め襲いに行きたい感情と戦っていた。均等の取れた肩幅と程良く張った胸、形良く反り返り張った亀頭、引き締まりエクボの出来ている尻やその奥に秘そめいている秘腔を想像するだけで自分の雄の先端からエモノに食らい付かんばかりにヨダレが滴り溢れていた。




  暫くしてシャワーの音が止みスチョルが部屋に戻ると、ベッドの上に全裸でいきり勃った男根を見せつける様に横たわり、優しく笑い掛けているチェギョンと目が合ってしまった。




  「最高だ・・・堪ンねぇ・・エロいぜ。」




  「最高に良い気持ちにさせてくれるのか?」




  「勿論だ。天国に行けちまえるホド絶頂を味わせてやるよ。2人でイこうぜ。」




  チェギョンから延ばされた手に引き寄せられ、今度はスチョルから積極的に口吻を求めていった。
煌々と部屋の蛍光灯が激しく絡み合う2人を照らしていた。チェギョンが覆い被さり、スチョルへ猛った男根を深く打ち込む度古いセミダブルベッドはギシギシと軋み、その音と混ざり合う様に、完全に快楽に溺れ喘ぎ声とも息とも聞き取れる悩ましいスチョルの声も部屋の中で響いていた。



 「アッッ・・・アッアッ、・・・イイッ。  ア〜ァァッ。・・気持ちイイッ。」



 床には達した後の処理されたゴムとティッシュが無造作に散乱していた。




 「オマエを味わえば味わう程、もっともっと欲しくて堪らなくなってる。初めてSXEの気持ち良さを知った以上だ。」




 「そうか、・・私は極上に美味しいか?。」

 うっすらと紅潮し襲ってくる快感に顔を歪めながらスチョルは笑みを浮かべた。




 「ああ・・完全に熟れた最高級な果物だ。何度でも・・・・毎日でも・・喰いてぇ・・。」

と、チェギョンが動きを止めた。




「?」




  スチョルが目を開けると歯を食いしばり堪えているチェギョンの表情があった。



 「ヤベェ・・・射ちまいそうだ・・・オマエのココ最高だ・・・。」


 その言葉に甘くかすれた声で囁いた。



  「私も一緒に天国へ連れて行ってくれないか?・・・もう限界だから・・・」




  「も・・・う?」




  「そう、・・・・ヤバイ・・」

  

  「・・・で?」




  「イカせてくれ・・・・。」




  「良い子だ。」




  再びチェギョンの絶頂に向け激しい律動と同時に男根を擦られスチョルは貪欲にこの快楽を貪った。


  「ア、アッ  アァン!!・・・イイッ!イイッ!  ア〜〜ッイクゥ

もう、アッ・・・・イッ、イクゥ・・・!!達ッちゃう〜〜!!ヒッ!ア〜出るぅ・・・。」


きつく閉じられていた瞳が見開かれ悲鳴と共に躰がガクガクと痙攣しチェギョンの逞しい腕を掴んでいた。




  「!!」

 

  スチョルが目を見開いた瞬間先程の匂いが躰全体から放出され、その匂いを吸い込んだ瞬間チェギョンの脳が真っ白になり意識を失った

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