ShortStory
□戦人-いくさびと-
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「・・・なんだ、あれ。」
マキノの店に向かおうとし、港を横切ると遠くから船が近づいてくるのが見えた。
目を凝らすと、船のマストに黒いジョリーロジャー。
「海賊だ!」
普通の少年だったら縮みあがる場面だが、彼の心は反対に色めきたった。
小さい頃であった気のいい海賊を思い浮かべ、海賊の到着を待つ。
「どんな奴らが来るんだろうなー。」
徐々に近づいてきた船はとうとう港に碇をおとした。
船から出てきたのは20人程度の少数海賊団。
「よう、少年。おれ様は、サバンナ海賊団のサイだ。・・知ってるよな?」
「しらねぇ。」
「しらねぇだと?懸賞金50万ベリーのこのおれを?」
「うん、しらねぇ。」
サイは顔を引きつらせたが、怒りを押し込めて問いかける。
「まぁ、いい。これから存分に知ることになるだろうからな。ところで少年、村へ行くにはここをまっすぐでいいんだな?」
「・・何しに村に行くんだ?」
「野暮なこときくんじゃねぇ!おれたちは海賊だぞ。略奪しに来たんだよ!!」
ドン!
空に向かって打たれた銃声が村全体に響いた。