パパの悩み事
□4 Happy Birthday
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「百合乃ちゃんお誕生日おめでとうー!」
ぱぁん、とクラッカーの音が部屋に響く。
『わぁ、ありがとう!』
テーブルには君菊が腕を振るって作った様々な料理とケーキが並んでいた。
「さぁ、百合乃ちゃんプレゼントよ。」
『気を使わなくてよかったのに…。』
「そんな事ないわよ。それにこのプレゼントなら百合乃ちゃん絶対に喜んでくれるはずよ。」
そう言って取り出したのはベロア素材の小さな箱。
百合乃は箱を受け取り、ゆっくり開けた。
『…これ……。』
中から出てきたのは光輝くペリドットのネックレスだった。
「百合乃ちゃんのママの形見よ。桜ちゃんが亡くなる直前に私のとこに来てね、忘れて帰っちゃったの。」
『ママの…。』
「桜ちゃんはおっとりした人だったから、バックの中身全部ひっくり返しちゃってこれを入れ忘れちゃったのね。」
『…ママらしいな。』
「そうね、でも桜ちゃんはね私にこれを見せてくれたとき、百合乃が大きくなったらこれを渡すんだって、嬉しそうに話してたわ。」
君菊の話を聞きながら百合乃は懐かしそうに微笑んでいた。
君菊にはかなわねぇな。
『お姉ちゃんありがとう。大事にするね。』