be in love, again
□2*I met with you again.
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今朝の歳三さんは朝から機嫌が悪かった。
まだ昨日のことが残っているのだと思う。
『今日は実家の母の様子を見てきます』
そう言うと私のお腹を殴って会社へ行ってしまった。
これ以上何もされなかったから、オーケーということなのだろう。
私は立ち上がり出かける支度を始めた。
出かけた場所は実家ではなく家から2駅先のカフェだった。
週に1回、私はここのお店を手伝っている。
このことは歳三さんには秘密だった。
彼は結婚したときから私が専業主婦であってほしいと思っていたし、私もそれでパートを辞めた。
でも知人の頼みをどうしても断れなくて、「週に1回くらいなら」との条件で働くことにした。
いただいたお給料は全て貯金してある。
いつか歳三さんがもとの歳三さんに戻ったら旅行にでも行こうと思って一円も使わなかった。
彼には実家の母の体調が思わしくないと言ってあるので、怪しまれたことはなかった。
たいていは出かけるときに誰とどこへ行くのか問いつめてくるのだが、実家の母と言えば深くは聞かれなかった。
きっと自分とお義母さんの姿を重ねているのだろう。
顔つきは変わっても、まだ歳三さんの心までは鬼になっていない。
そう思えるから、私は歳三さんを信じ続けられていた。