だから笑って。
□01.あの日のふたり
1ページ/4ページ
side*美沙
確か初めて会ったとき、私たちはまだ小学生だった。
『へーすけ!』
「なんだよ美沙」
『ほうき変わって!』
「ここ美沙が掃除するとこじゃん」
『今からお千ちゃんのクラスに行って手紙渡してくるの!ね?お願い!!』
「わ、わかったよ…」
あのころの平助はどこか頼りなくて、女の子からの圧しには特に弱かった。
『へーすけ!』
「次はなんだよ」
『これ持って行くの手伝って!』
「俺…もう帰るんだけど…」
『いいじゃん!すぐ終わるから!
はい、これとこれ!』
「うわ!美沙…ちょっと積みすぎ!落ちるって!!」
こういうの、ヘタレ…っていうのかな?
とにかく、私の傍にはなんとなく平助がいて、常に私が尻にしいてたっけ。
でも、毎日のようにこうしていれば周りからはいろいろ言われる。
特に小学校高学年ともなると、男女の仲って気になる年頃だし…
「ねぇ、美沙ってさ、平助くん好きなの?」
『うん。平助は私の部下だよ!』
「いや…そういう好きじゃなくて…男の子として!」
『うーん?よくわかんない!』
「本当に本当?」
『うん?』
たくさんの人に同じような質問をされて、似たようなやりとりをした。
でも何度同じことを聞かれても私の答えはいつも一緒で。
好き…とかよくわからなかった。