だから笑って。

□01.あの日のふたり
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side*美沙


確か初めて会ったとき、私たちはまだ小学生だった。



『へーすけ!』

「なんだよ美沙」

『ほうき変わって!』

「ここ美沙が掃除するとこじゃん」

『今からお千ちゃんのクラスに行って手紙渡してくるの!ね?お願い!!』

「わ、わかったよ…」



あのころの平助はどこか頼りなくて、女の子からの圧しには特に弱かった。



『へーすけ!』

「次はなんだよ」

『これ持って行くの手伝って!』

「俺…もう帰るんだけど…」

『いいじゃん!すぐ終わるから!
はい、これとこれ!』

「うわ!美沙…ちょっと積みすぎ!落ちるって!!」



こういうの、ヘタレ…っていうのかな?

とにかく、私の傍にはなんとなく平助がいて、常に私が尻にしいてたっけ。



でも、毎日のようにこうしていれば周りからはいろいろ言われる。

特に小学校高学年ともなると、男女の仲って気になる年頃だし…


「ねぇ、美沙ってさ、平助くん好きなの?」

『うん。平助は私の部下だよ!』

「いや…そういう好きじゃなくて…男の子として!」

『うーん?よくわかんない!』

「本当に本当?」

『うん?』



たくさんの人に同じような質問をされて、似たようなやりとりをした。

でも何度同じことを聞かれても私の答えはいつも一緒で。


好き…とかよくわからなかった。
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