携帯獣

□私はいったい
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昔…。
今でも思い出しただけでも辛い。
あれは私が9歳の時。

私の親はろくでもない愚かな人だった。
物心が付いてからすぐ、自分がどれだけ不幸な子供なのかが分かった。


傷と痣だらけの平均よりも痩せ細っている身体。
家の中はまるでゴミ屋敷だった。
毎日ゴミの中で生活して、食事もろくに取らず…。

余りにも辛い時は外へ逃げた。
怒られるのを知っていても。
だが結局居場所は無く、家に帰りまた身体に傷を作るだけだった。
学校も行かせてもらえない。
親は酒を飲んでは子供の前で性行為をしてばかりいた。


やがて親は私を置いて心中した。
1人になった私は夜に街をさまよいながら盗みをしてなんとか生き延びようとした。


「最近街中を子供が歩いて盗みをしているらしいわよ?」

「ああ、あの心中した夫婦の子供でしょう?」

本当に可哀想よねぇ…。


可哀想?
そんな事思って無いくせに。

そのうち警察に追われるようになり、盗みも出来なくなった。


私は残っている力を使い人目に掛からない深い森へ逃げた。
勿論そこで力が尽き、水辺の近くに横たわった。


私は誰に必要にされているのだろう。
涙が溢れ、そこで気を失った。
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