*短編小説*

□俺様何様ハリー様!
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〜もしも闇の帝王を倒したのが本当にハリー自身の力だったら〜


(炎のゴブレット編)



「ヴォルデモート卿の復活だ!!」


“三大魔法学校対抗試合”に、なんの因果か参加する羽目になったハリーは、最終審査の迷路の先で闇の陣営のメンバーに嵌められ、移動キーによってヴォルデモートの下へと誘いこまれた。


『はぁ…』


ハリーは毎年毎年、年に一回は面倒事に巻き込まれる自分に対して、深い溜め息を漏らした。


「あれが…例の、あの人…?」


ハリーと共に移動キーによってヴォルデモートの下に来たセドリックは、ヴォルデモートを見て身を竦ませながら呟いた。


「ふふふ、…その通りだ、青年よ」


ヴォルデモートは声高々にしてそう言った。

それに対してハリーは


『セドリック、下がってて。あいつの厨二病が移る』


と、平然とのたまった。

だいたい、なんで自分ばかりがこんな蛇面に命を狙われなきゃいけないんだ。こんな剥げた世間知らずのいかれた爺に殺されるくらいならマルフォイの前で裸踊りした方がマシだ。


………と、


『ハリーは思ったのだった』

「全部口に出しとるわ小僧おおおおおお!!!!!」


『ああ、こんな能面自称イケメン爺に殺されるなんて、僕はどこまでついてないんだ!思えば赤ん坊の時変態くさい親バカ親父にファーストキスを奪われたと知ったあの日以来、僕は不運の連続だ………と、ハリーは心の中で呟いた』


「ハリー、全部口に出してるよ…(これが本性か)」


セドリックは先程まで好青年と呼べる程純粋で爽やかだったハリーが、まさかのヴォルデモートに毒を吐きまくる姿を見て、こっちが素なのか、と直感した。

ヴォルデモートは先程までの高圧的な姿とは一変、怒りに顔が真っ赤になっている。

それをすぐ近くでみているペティグリューや死喰い人は震えながら見守っている。



「っ!貴様この俺様を愚弄しよって…!!貴様など今すぐに殺すこともできるのだぞ!!…貴様の母親がかけた魔法はすでに俺様には効かないのだからな!!」


ヴォルデモートは少しは落ち着きを取り戻したのか、ハリーに向かって杖を構える。


周りの空気はピリピリと殺気立ち、死喰い人たちも自身の杖をハリーとセドリックに向けた。


初めて浴びる純粋な殺気に、セドリックは足が震え、舌が痺れるのを感じた。




が、




『…っくっくっくっ…』



それは、ヴォルデモートに対してというよりも、俯いたままかみ殺した笑い声をあげるハリーに対してだといえるだろう。




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