*短編小説*

□平凡な恋慕。
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今日は珍しく、C太とお昼を食べられる事になった。

四時間目、英語の辞書を借りにクラスに来たC太に、思い切って今日のお昼は誰と食べるのか聞いてみたのだ。


そしたら…


「え、別に? あ、じゃあ一緒に食べる?」

「……ん、うん…」



びっくりした。かなり。

最初C太の言った言葉が理解できなくて、ゆっくりと飲み込んだ後、うんと小さく返すのが精一杯だった。

次の授業の内容は、まともに覚えていない。
理由は絶対C太だけど、何でかいつも退屈な授業が更に長く感じられた。



「…はぁ……」



お昼、まだかなぁ。





今日は、珍しくA弥と一緒にご飯を食べられる。

英語の授業で使う辞書をうっかり家に忘れてしまい、どうしようかと悩んでいたとき、パッと浮かんできたA弥のところへと辞書を借りに行ったのだ。


その時。


いつもならこういう時A弥は、じゃあ、とすぐに教室に引っ込んでしまうのだが…
何故か今日は俺を見上げながら何か言いたそうに視線をキョロキョロとさまよわせている。

いつもと違う。

噂話がしたいときのA弥とも、なんだか少し、どこか違う。

まぁそれはA弥の幼なじみである俺だけがわかるごくわずかの微妙な変化だけど。うん、まぁ他の奴は分かんなくていーけど。


A弥は、意を決したようにえっと、と口を開いた。



「あの…さ、き、今日、誰と食べるの?」

「へ?」

「あ、や…だから、あ、えっと…今日のお昼…誰と食べるのかなって…」


それを聞いて、ようやく納得がいった。
なんだ。A弥はさっきから、これを聞きたかったのか。
そうか、そういう事か。

俺が誰と食べるのか…



誰と食べ……



誰と…







ーーーーーえっ!?







「……C太?」

「えっあー別にっ?あ、何だったら一緒に食べる?」



瞬間。



A弥の頬がポッと赤く染まった。









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