新作構想ハイライト集

□とある魔術の禁書目録
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物陰から伺う美琴の視線の先には

藤堂 風壬




だが、いつもの馬鹿と違う点があった



イヤでも目に付く服装



それが………





「(なんで女物の服装!?
ていうかなんでよりにもよってウチの中学の制服!!?)」




口に出さずに

行動に移さずに


心の中で叫べた自分を美琴は誉めてやりたいと思った



あの女に間違えられると無駄にキレる馬鹿が女物の服装


しかも、美琴の通う
常盤台女子中学の制服を着ている



手の内を解明するとか、そんな次元の話ではなかった




「(いやいやいや!
おかしいでしょーが!
いや、似合ってるのは似合ってるんだけど、むしろ……違和感がないあたり流石に美人というか……。
って違ぁっ〜う!!!)」


美琴は訳も分からず気の毒なほど赤面しながら心の中で叫ぶ




悶々と色んな意味で気になる人物の

とんでもな状況に遭遇しテンパりまくる美琴



そもそも、男なのになんであんなに生足が綺麗なの?

なんで女物の制服を完璧に着こなしているのよ!?

というかスカート短すぎない!?
そ、その、中身が見えるか見えないかギリギリ過ぎて目のやり場が……いやいやアイツは男!男!
私が別にあいつの下着を見ても恥ずかしがる理由は無い!

あれ?逆???




「10点…37点、16点、22点、26点」





問題の渦中の人物の発言に


美琴はハッとなって外宇宙に飛び立ちかけた意識をそちらへ向ける




常盤台の制服に身を包んだソレが続けて


男達の顔を眺めながら口を開く




「んー……どれもこれもアレな感じ」



「あ?どういう意味だ姉ちゃん?」

先程の謎の点数のこともあるのだろう

男の一人が眉間に皺を寄せてメンチをきる



その行動に対し、ソレは面倒そうに溜息をつき

臭いものを前にしたように手をヒラヒラさせながら口を開く



「決まってるでしょ、顔の点数。
どいつもこいつも…そろいも揃って赤点。
私をナンパしたいのなら……」


そこまで言い、ソレは腕を組んで鼻で笑いながら続きを言う



「その、いかんともし難い…。
私との顔面格差を少しは埋めてからきてくれる?
あと、ついでに息が臭い。
口の中にトイレ用のファブリーズ詰め替え用(原液)をぶちこんでから喋って欲しいんだけど」





ピシ




空気が凍った音がした



男達も、このような辛らつな物言いをされるとは思ってもいなかったのだろう



空気と同時に男達も凍りつく




当然、物陰から見ていた美琴もだ




そして数秒




当然ながら、男達はソレに殺到する


当然の流れといえば当然




コレが普通の女子学生なら

その後は凄惨な光景が展開されるだろう


コレが普通の女子学生なら


美琴も我に返って助けに入るだろう






だが、ソレは普通ではなかった


女子学生に対し

男達の内の二人が容赦なしの

全力の拳を振るう




ソレはこれといった感想はないとばかりに興味なさそうな顔のまま


軽く両手を前に差し出す



瞬間



バキン!


男二人の体が勢いのまま、ふわりと浮き上がり路地の壁面に叩きつけられる




白目をむき、そのまま壁面をずるりと這うように大地に落下する男二人




その光景に、他の男達は


たたらを踏んでソレに飛び掛るのを中止する



「あらら、想像以上に飛んだわね。
単純な腕力だけは平均以上かしらね〜」



「な、なんだコイツ!?
まさか能力者!??」

「おい、聞いてねぇぞ!」

「つーかコイツの制服…あの第三位のいる常盤台……」



残された男達の表情が一気に青ざめてゆく



一瞬の内に展開された異常な光景に最悪な展開を予想したのだろう




目の前の女子学生は

あの第三位ほどではないが…

無能力の自分達では太刀打ちできないヤバイレベルの能力者なのでは、と





一瞬、ほんの一瞬の躊躇

一瞬、ほんの一瞬の負けの思考



ソレが完全に明暗を別けた




「能力?そんなの使ってないわよ」



なに言ってんの?お前等?

そう言わんばかりに首を捻りながらソレは無造作に前へ出る



そして、一人の男の服の袖をギュっと握る



「え…///」



不意の行動に男は思わず赤面する



それに対し、ソレは満面の笑顔で言う



「きもい、顔赤らめてんじゃないわ…ってのよ!」



クンッ




ほんの少し


まるでドアノブを捻るが如く




軽い動作で袖を掴んだ腕を捻る





男が、その場で180度側転した


両隣の男達を巻き込むようにして


傍にあったゴミ箱にそれぞれが突っ込むようにして地面に激突する



舞い上がった埃を鬱陶しそうに手で払いながらソレは言う



「ほんとう、なんでこう男って馬鹿ばかりなのかしらねぇ〜。
まぁ、私みたいな超絶美人に欲情すんのは解るけど」



フッと、見ようによっては優美な

見ようによっては馬鹿っぽい笑いを零し



「まぁ、そんな私に目をつけたことだけは褒めてあげる。
ただし、ソレが許されるのは…ただしイケメンに限るってね」


ズン!!!×5


ソレは気絶した男達の股間をそれぞれ一撃づつ蹴り


悠々とその場から立ち去る




美琴はバクバクと鳴り響く胸に手を当て物陰から惨劇現場へと姿を見せる




さっきの物言いも女性そのもの


女性者の服装を着ているとホンモノの女性にしか見えないソレの後姿を見て



美琴は声をかけようとして、それをやめる



そして、脳内でグルグルと思考が回転……




「(あいつ…普段は男の姿で出歩いてるだけで………本当は女だったの!?)」



なんというか、いい具合に煮詰まっていた



美琴の中で、実は風壬は普段は男装している女性という形で落ち着きつつあった



そんなもやもやした気持ちを抱えたまま


美琴は狐に摘まれたような心地で寮への帰路についた
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