新作構想ハイライト集

□とある魔術の禁書目録
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その日の夜



寮内で美琴は同じ部屋の住人であり

後輩でもある白井 黒子に声をかける



「ねぇ、黒子」


その声に、背格好に似つかわしくない派手なショーツを纏った黒子は

鏡台の前で髪を櫛ですきながら振り返る


「あら、えらく神妙な声音ですこと。
どうかしましたのお姉さま」




怪訝も露わな黒子に対し、美琴は年齢とずれた可愛らしいパジャマを着て

枕に抱き、ベッドで横になったまま口を開く



「……もしさ、もしもの話なんだけど。
あんたさ、私が実は男だったらどうする?」



唐突な問い


そもそも脈絡もなにも無い


少なくとも、黒子にとってはだが…




どういう答えが正解か、自分が愛するお姉さまの望む答えがなんなのか


そして黒子は、そのちょっと特殊な脳内回路で一つの答えにいきつく




「お姉さま…」



ユラリと鏡台の椅子から立ち上がり


両手を合わせ黒子は首を振る




「お姉さまッ!!!」

「は、はい?」


その剣幕に押され、思わず居ずまいをベッドの上で正す美琴




ああ、なんてことでしょう


まるで、そんな台詞か聞こえるように大仰にポーズをとり黒子は言う



「ご安心ください!お姉さま!!!」


「な、なにがよ」


「私のお姉さまへの【愛】は女性同士というしがらみなど!
そう!ものともしませんわッ!!!
むしろ!そのような世間がのたまう常識など!障害など!!
この【愛】を燃え上がらせる燃料にしかなりえませんわッ!!!!」



「………えーっと」



よくない方向に暴走しつつある同室の後輩に美琴は脂汗を滲ませながらも

何事か言おうとする、が言葉が続かない




「ですので!
お姉さまが私のためにわざわざ性転換なんてなさる必要はございませんッ!!!
しかし…その私を慮っての大胆且つあふれ出す愛による行動力には黒子は感動を覚えましたわ……」



そう言い、俯き


体をプルプルと震えさせ



「だから!その【愛】に私ッ!
白井 黒子は応えて見せますわッ!!!」


バッ!!!



そう叫び、黒子は大人びたショーツを高速でパージ


「お・ね・え・さ・まぁぁあぁぁ!!!!!」


熱いパッションを迸らせながら美琴に対して、見事なルパンダイブを敢行






そして




バチンッ!!!!!!




若干黒く焦げ


気持ちよさそうにピクピクしている白井 黒子の姿がそこにあった



そんな後輩を他所に

美琴は溜息をつき、電気を消してベッドにもぐりこむ




そして、今日見た光景を


閉じた瞼の先で思い出す




今回、よく見て解ったこと


まともな表情をしていたらアイツは相当な美人だ

普段が普段なだけに

馬鹿で間抜けでどうしようもないイメージが先行しがちだが



そう、アイツは掛け値なしの美人


まぁ、つまりはカッコイイのだ



美琴はあまりそういった自身の趣向に顔を重視したりはしない


自分でも自覚している

他者の評価もそうだろう


外見が良くても、中身が合わなければ結局は………




そういう対象には成り得ない



美琴は閉じた瞳の先で



あの馬鹿と出会ったときから


今までの事を思い返す




ほんの数ヶ月

時間にすればほんの少しではあるが




認めたくは無いが、少なからず私はアイツに好感を抱いている


ソレが、恋愛感情かどうかは置いておくとして


置いておくとして!



アイツのことは


まぁ、その、嫌いではない



色々と、頼んでもいないのに助けてくれたりもしたし

性格も面倒くさがりやで基本適当

変なところが几帳面だったりして

なんだかんだ世話焼きなところもある



無駄に変なヤツではあるけれども



そう、嫌いではない



そういった事柄を踏まえて考える


アイツはかっこいい



重要である性格も嫌いではない




待てよ、美琴は思考を止める








自分は顔はそれほど重視はしない


だが、いいに越したことはない


無論、中身がちゃんと自身の琴線に触れていることが前提になる




そして気付く




アイツはそのハードルの高い前提を満たし

尚且つ無駄にカッコイイのだ(普段は非常にアレな感じだが)




コレは、まさか、その



見事に自身の恋愛対象になっているのではないのだろうか



そこまで、考え



美琴は気の毒なくらい赤面した顔を枕に押し付ける



「(落ち着け私、アイツはそんなんじゃない、アイツはそんなんじゃない)」




呪文のように繰り返し唱え




それに、と思う、思い出す



今日の出来事で生じた疑問




「(…アイツが本当に女だったとして。仮に、仮に、私がアイツをそういう風に見ているとしたら)」



もの凄くややこしい状況になるのではないのか?


告白すらしていないのに失恋ということに…



いやいやいや、だからアイツはそんなじゃない!

告白なんてするつもりもない!



えーっと、つまり


そう!私が問題だと思ったのは



今、まさに


ベッドの脇で焦げてピクピクしている馬鹿な後輩と同種の人間になるということだ



別に、女の人が女の人を好きになっちゃいけない!

なんてことは美琴は思わいないが…




やはり、こういった、

ょっとアレな実例(黒子)が身近にいると困惑もするし躊躇いもする




ふう、と息を吐き


思考を落ち着かせる




とりあえずは確認だ



そう、これは恋愛とかレズとか



そういう問題ではなく


単純にアイツが男か女かハッキリしない


それがモヤモヤして個人的にスッキリしない




そう、これはあくまでも知的好奇心を満たすためであって…





などと自身でつらつらと言い訳をしながら美琴は思い出す



「(あいつ…うちの中学の制服を着てたってことは……探せばいるのかな?
明日にでもサーバーに侵入して調べてみるか…)」



目的の理由付けをし

その手段を思いつき



とりあえずは明日行動してから考えよう



そう考え、美琴は眠りに落ちるべく思考を放棄した
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