新作構想ハイライト集

□フルメタルパニック
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「俺がてこずった奴等のセンサーを潰すってどんな腕前だよ」


クルツの愚痴に

廊下の端から歩いてきた人物は気の抜けた声音で



「この銃が特注なの知ってるだろ?
あと、潜んでなんかねぇっつうの……こちとら他のメンツも助けに行ってんだから」



「で、俺が最後って訳か」



「そ〜いう事、クルツあいつ等の足を5秒でいい、止めろ」



そう言ってフミは腰に差してあった刀の【ような】モノを引き抜く



クルツはフミの言葉に従い


センサーを潰され、聴覚のみで敵を探そうとぎこちなく動くアストラルに狙いをつける




フミは手に持ったソレに取り付けられていたトリガーを引く




キィィィィィン




甲高い音と共に



刀身がぶれる




そしてフミは走り出す



クルツを追い越す



アストラルがフミの足音から判断し射撃



フミは表情一つ変えずに


なめらかな動作でソレを回避しながら走る


その勢いのまま軽快に壁を走り


そのまま跳躍し天井を蹴る



バリケードを飛び越し



フミは得物を天地逆の状態で振りかぶる




アストラルが中空で身動きが取れないフミに照準を合わせ



その動作をクルツが放った弾丸が阻止




スッと其処に何もないかのように



フミの振り下ろした刀身はアストラルの頭部を通過する


そして着地



右足を軸に身体を捻る



遠心力を味方につけ


フミの振るう刀身は更に速度を増し



ザンッ



周囲を囲もうとした4体のアストラルは胴を切り離され沈黙した





それを確認してクルツはハッとする



「馬鹿!そいつ等は壊れたら自爆すんだぞ!!早くこっちへ来い!!」


そう言ってクルツはバリケードに身を隠そうとし




「ん?大丈夫だってその手の命令系統のある回路を断ち切ってんだから自爆はしないって」


その言葉にクルツはソーっと身を乗り出し



「それを早く言えよッ!!」



「言う暇なかったじゃん」



「大体なんだよあの動き!?
普通に壁を走るなっ!
お前は忍者かッ!!!」


クルツの言葉にフミは五月蝿そうにしながら


「んなもん知るか、身体が落ちる前に次の足を前に出しゃあいいだけの話だろ」


と、無茶な事を言われクルツは溜息をつく



それにフミも溜息をつく



すると



バキンッ


フミの持っていた刀?の刀身が折れる


「ん〜耐久度に難ありだな〜替えの刀身を幾ら用意しても足りないし」


そう言ってフミは刀?の柄を捻る



パキャンと音を立てて折れた刀身が分離し床に落ちる



「にしても…お前の作ったソレすげー切れ味だな。
なんつったけ?高周波ブレードだっけ?」


「まぁ、な〜超振動より即断性が高い反面、刀身の劣化が早いのがな〜改善の余地はあるけど…」



そう言ってフミは腰にぶら下がっている無数の鞘の中に高周波ブレードの柄を差し込み


捻り、引き抜く



カチン



金属音がして

柄と新たな刀身が接続された状態になっていた


その刀身を見ながら

「あと、使用者もかなり修練しないと自分の腕を切り落としかねないから凡庸性もないんだよな〜」


「量産する気だったのかよ…」


「ん〜いや、コストがふざけた感じだから上層部に懇願された止めて、って」


「あ〜そう…」


そんな高次元な内容なのに何処か間の抜けた会話をしている二人の通信機が鳴る



内容はテッサが敵の主犯に捕獲され、そのまま敵が船外に逃亡しようとしているとの情報だった




クルツの視界の中にいるフミ


いつもとなんら変わりない


気だるそうなやる気の欠片も感じられない表情



だが、こうしてフミとつるんでクルツにはフミの特徴を理解していた



フミが真剣にキレてる時は静かになる

フミ自身が


その取り巻く空気が





フミはだるそうな表情のまま敵の移動ルートえお聞いている



普段なら


『いや、しんどいから他の人に頼んで欲しいんだけど…』

とか、適当な冗談を言う



そして通信を終え


フミは無言で刀身を鞘に戻し



「片をつけてくる。
クルツはマオ達のサポートに回ってくれ」



そう言ってフミは全力で走り出す


擦れ違い様のフミの表情を見たクルツは肩を竦め思った

凍て付くような

静謐な殺気を漂わせる眼光


「(テッサを攫った奴、マジで救えねえな……。
あの馬鹿の逆鱗に触れちまいやがった)」




クルツは救いようの無い敵に
せめてもの情けに胸で十字を切った
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