カナカナカナカナ


カナカナカナカナ




ああ、ひぐらしが鳴いている



ひぐらしの奏でる演奏に乗って



少年少女の慟哭が狂笑や、すすり泣く声が聞こえる




カナカナカナ


カナカナカナ



ひぐらしの演奏に乗って



繰り返される絶望に立ち向かう声が聞こえる





さてさて




そろそろ…

哀しいBADENDも飽きてきただろう?



一つくらい


皆で笑って終われるような結末があってもいいもんだと……


そう、俺は思うのさ



これっておかしいかな?



まぁ、他人がどう言おうが…



一人くらい居てもいいんじゃない?



誰も泣かないで済むような


そんな御伽噺があると願って



運命に抗う奇特な奴が居ても




ん?理由?



あー

……ただ哀しい話が苦手なだけ


それじゃあ、答えにならないかな?









風壬は重たそうなトランクを引きずってバスから降りる


排気ガスを撒き散らしながら走り去るバス



風壬はガスの名残を手うちわで払いながら周囲を見渡す



「う〜む……寂れた感じが…なんとも田舎っぽさを演出してるなぁ」



何ともいえない感想を述べながらトランクを押し、歩き出す風壬


が、一分も経たずに動きを止める



「……しんど」



どうやら挫折したようだ



「あ〜バイクでくりゃ良かったかな……けどそれだと荷物がなぁ…」



そう言って大型のトランクを見つめる


数ヶ月滞在する分の衣類や日用雑貨

暇つぶし用の本各種

んでもって非常時用の各種武器(兵器といってもいいレベル)



特に最後の武器が頂けない


コイツのせいで一般の宅配便はおいそれと使えない


まぁ、見つかってもコネを使って揉み消せばいいだけのはなしなのだが…


色々と手順を踏むのがめんどくさい




「あ〜もう…こんなんだったらあんな事を言うんじゃなかった」



愚痴を零しながら

数日前の出来事を思い返す




あれは風壬がガンパレードの世界に様子を見に戻ってきた時の事





準竜師・私室



「ふむ、顔色が優れぬようだな」


ふてぶてしい態度の準竜師の言葉に

風壬は自分が他の世界に移動している間に
ガンパレードの世界で起きた案件をまとめた用紙に目を通しながら
だるそうに


「うっさい、こちとら多種多様な世界に行ってドンパチしてんだ。
そりゃ精神も磨り減るっつうの」



「ほう、それは確かに精神衛生上良くはないな」



「あったりめぇ〜だろ。
一つの世界に付き確実に一回は生死の境を彷徨ってる俺の身にもなれ」



「ふむ」


そう呟いて準竜師は引き出しから一枚の用紙を取り出す


「ならば、しばらく休養を取ってはどうだ」


「あ〜休養?」

訝しげに手持ちの用紙から目を離す風壬


「うむ、なにも危機を迎えていない世界に赴き羽を伸ばすがいい。
なに、安心しろ。
その世界に存在する芝村の者に金銭や身分証明などは用意させよう」



準竜師の思いがけない提案に風壬は疑いの眼差しで


「はぁ?休養???
冗談だろ?なんでお前が俺にそんなサービスすんだよ」


「日頃の感謝の現れと思ってくれて構わん。
戦場とは無縁の緑豊かな場所を用意させよう」


「緑豊か……無人のジャングルとかそんなオチじゃ?」


「まさか、程々に文明がある良い場所だと聞いている。
国は世界は違えど勝手知ったる日本だ、問題はなかろう」



その言葉を風壬は無言で吟味する


悪くはない提案だ

だが…肝心のその世界での俺の役所、身分を聞いていない



風壬の思考を読み取ってか
準竜師は苦笑しながら


「そう疑うな、身分は普通の学生だ。
地元の学校に通い普通に生活をすればいい、但し滞在期限はあるがな」



その言葉に風壬は


正確には風壬の怠け心がむくりと顔を上げる



「マジか?ホントにそこは普通な場所なんだな?」


「うむ、保障しよう」


「よっしゃ〜♪久々の休暇だ〜♪魔法も無い、戦争もない、巨大機動兵器もない♪ビバ普通!!!
高らかに俺は此処に宣言しようッ!!!
今まで働いた分!怠惰に過ごそうと!!!!」



ウキウキ状態の風壬を見て準竜師は
一瞬
ほんの一瞬だけ笑いを漏らす



が、風壬はソレに気付かない


「では、こちらで手筈は整えよう」


「ういうい♪
あ、そういや国は日本なんだよな?
地名は???」



それに準竜師は一拍置いて口を開く


「雛見沢だ」



それで会話は終了



そうして、俺は世界をまたいで



今、この超田舎に到着した!!



のだが…あれだ…



しんどい



歩くのがしんどい

やる気が失せる


見渡す限り山、山、標識、山ってどんだけ田舎なんだよぉぉぉぉ!!!!

ってな話で




一瞬、このまま来た道を帰ろうかとも風壬は考えたが


まぁ、ほのぼの田舎ライフを満喫するのも悪くない



そう思って、重たいトランクを押して歩き出した










まぁ、なんというか…


このちょっと後で


その目的地の雛見沢村の領地に入るギリギリ手前で

風壬は奇妙な『違和感』を感じた


感じたのだが、気のせいだろうと風壬は一歩踏み込んだ


雛見沢の地に一歩踏み込んだ


踏み込んでしまった



同時に風壬は自分が嵌められたと気付く



この土地に

その顔の裏側に潜む何かを

微細な悪意を感じ取り


気付いた瞬間には繰り返される
物語の螺旋の中




踵を返して此処から離れた所で螺旋に組み込まれた自分は逃げられない



この物語を望まれた結末に導かない限り


自分はこの世界に囚われ続ける


そう本能で理解し



風壬は己の迂闊さとか
大人の汚いやり口に
半泣きになりながら指定された己の住居の場所まで歩くのだった










と、いった具合で物語りは始まります

サ●ヤ人とまではいかないですが、無駄に戦闘能力の高い風壬

ぶっちゃけ、圭一だったら襲われてビビル場面でもコイツなら怖い筈のシーンが笑いに転じる可能性が大なため
物語独特の恐怖感は一切無縁になると思い

従来の風壬だけの視点に置いていた物語調を各キャラの視点で追っていく方向にするつもりです


簡単に説明すると…

一日目(風壬視点)
一日目(圭一視点)

と、いって具合に一話で複数の視点から物語を書こうかな〜と思っています


案外、圭一のような一般人が疑心暗鬼に陥った状態で風壬を見れば相当怖い筈ですし(汗)


ちなみに風壬の武力で即解決とはいきません

理由としては、風壬が最も戦闘で苦手とするのが普通の人間だからです

幻獣とかの類ならば何の躊躇いも無しに即殺出来るでしょうが

相手は突如豹変した友人・一般人


苦手も何も、ガンパレの方の繰り返される世界で風壬は自分に怯えた唯の人に何度も殺されてますんで


ある意味、何千という悪魔とかを相手した方が風壬にとっては楽でしょう


てな訳で、他の作品とは物語の進め方が大分変わると思います




人物評価

圭一→頼れる兄貴分だな

レナ→はぅ〜♪かぁいいよ〜♪おっもちかえりぃ〜♪

魅音→ふっふっふ、おじさんの良きライバルに認定だね

詩音→悟史君ほどじゃないけど…まぁ、充分合格点な人です♪お姉をよろしくお願いしますね〜(笑)

沙都子→今日はどんなトラップを仕掛けてさしあげましょう♪

梨花 →にぱ〜♪
(本来は雛見沢に存在しない人間……繰り返される六月を抜ける鍵になるかしら…)

三四→変に色々と嗅ぎ回ると早死にするわよ

羽入→あうあう、シュークリームを取引材料にするなんて卑怯です〜(泣)

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