「で?そのお姫様の手伝いを俺にしろって?
しかもその真意は教えられないって?」


時計塔



魔術師達の学び舎の最高峰にして魔術師協会の総本山



その時計塔の中で最高レベルの魔術師等に与えられる部屋で二人の男が会話をしていた



部屋は暗く姿ははっきりとは見えないが
片方は老人


片方は紅い髪をしている青年だった



「うむ、アカシャの蛇を追って極東の島国に行ってもらう。
それだけだ」


老人の言葉に青年はことさら嫌そうな口調で


「あのな〜ゼル爺?
俺ってばついさっき一つの世界を救ってきたとこなんだけど?
今から溜め撮りしてるドラマ見る予定で忙しいからパス。
大体な、アルトルージュの件もそうだが……真祖と共に行動するとろくな事が無い」


ゼル爺

世界に存在する十人に満たない魔法使
ゼルレッチ・シュバインオーグに青年は正面を切って不平を漏らす


「ほう…拒むと言うか?」

「ああ、何より眠い」



「……………」
「……………」




重い


それは一般人が…いや魔術師や不死者であっても
其処に居たら失神しかねない程の重圧の沈黙が場を支配する




月明かりが音も無く部屋に差し込む




そしてその重い沈黙は






「貴様ッ!!!
眠いとは何事だ!!!
大体!そのドラマの録画をしたのはワシだろうがッ!!」


「五月蝿せぇぇぇッ!!!
黙れ!このクソ爺ッ!!お前も世界移動存在なら俺の苦労が解るだろうがッ!!!
このまま日本に飛べだ?過労死するわッ!!!」



と、いった完全に頭の悪そうな会話で終わりを告げた



「いい度胸だな女顔がッ!!」

「言うね鬱陶しいモジャ髭がッ!!!」


そうして両者は戦闘態勢に入る




だぁ〜れが!!女顔だコラァァァッ!!!!!


このナイスミドルな髭が鬱陶しいだとこの餓鬼がぁぁぁ!!!




両者の叫びと同時に

老人からは虹色の光が


片や紅髪の青年からは漆黒の光が


同時に放たれる








ズズーン!!!!




巨大な時計塔が揺れる



それから数分して



二人の男は壁がなくなり
綺麗な満月がよく見えるようになった部屋で横たわっていた




「うぅ……こんな茶番で第二魔法を使うか普通?」

「そう言うお主こそ万物の法則に反逆する消滅の絶技を使ったじゃろうが」



両者はぶっ倒れてもお互いを罵りあう


非常に低レベルな罵りあいだが…




それから更に数分が過ぎ


紅髪の青年

フミは折れていた


「わぁ〜ったよ、行けばいいんだろ?行けば?
ていうか真祖の姫さんに助けなんかいるのか?俺より強いだろ明らか?」

「お主は誰が相手でも規格外だろう、その消滅の絶技には真祖であっても抗えん。
何よりも…27祖の一部が動いておる」


「27祖って爺以外のか?」

「うむ、その数は特定できぬが………故に保険の意味もかねてだ。
何よりも、そなたは教会の方にも顔が利く…もしもの場合はなんとかなるじゃろ」

「はぁ〜アカシャの蛇に、27祖って、嫌な相手だなおい…。
ていうか、もしもって……埋葬機関の奴等も来てるのか?
……勘弁してくれよ…爺…今度飯を奢れよ、高級な値段が6桁くらいの」

「…考えておこう」


老人の返事を聞き
フミは頭を掻きながら身を起こし


溜息をついて半壊した部屋を出て行った


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そしてフミはその真祖の姫君



アルクェイド・ブリュスタッドの


ハイ・ディライトウォーカー新居


ていうかぶっちゃけ

市街の高級マンションに訪れ



その部屋のドアを開けて





猛烈に後悔した





「……おーい、何で17パーツに身体が分解されてんですか?」

その言葉に17分割された女性だったであろう体は答えない

当たり前だが…





フミの視界の中では

一般家庭の玄関ではまずお目にかかれない


非常識なくらいスプラッタな光景が展開されていた



それからフミは溜息をつき



ドアを閉め



近くの百円均一にバケツと雑巾を買いに行き(自腹で購入)


鮮血で汚れまくった玄関の清掃と





復活したアーパー吸血鬼の愚痴に付き合う事になる



これは物語の序章に過ぎず


フミの不幸談の前哨にでしかない




人物評価

志貴→アルクェイド同様放っておけない人

アルク→ふみ〜ご飯まだ〜

シエル→真祖の味方をするのであれば…貴方でも私の敵です

秋葉→……何故、視線を逸らすんですか?ちゃんと目を見て喋って下さい!

翡翠→志貴様をよろしくお願いします

琥珀→さて、思惑通りに動いてくれるでしょうか

ネロ→人でありながら人を辞めた者同士、殺しあうとしよう

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