小説 小話

□絆のため
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前から考えていたんだ


秀吉様の行いが正しいのか


民のためになっているのか











答えは否だ










ワシは武将だ


だが、戦は嫌いだ


人が殺しあうのはもっと嫌いだ






民も武将も、絆の下に平等でいなければならない






そんな世の中にするにはどうすればいいのか











「秀吉公!ワシは貴方の行いが正しいとは思わない!」







拳が二人の間で空を切り、互いにぶつけ合う







地面に伏しているのは、秀吉様の方だった。










あぁ、そうか


英雄たちの背中を見て育ったワシは、いつの間にかその英雄を越えていたんだ。






「なんだ……」


虚しかった。









「貴様が……秀吉様を葬ったのか」


友であった三成


秀吉公を尊敬し、崇め、慕ってきた男










うつむくことしか、出来なかった










「……すまない、三成」


忠勝に乗って去った際に、頬に流れたものはなんだったワシ自身にも分からなかった。






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