夢小説 短編

□私の友達か曖昧なやつが死にました
1ページ/7ページ

一ヶ月前、ある女が死んだ。

名前は知らない、覚えなくていいと女が言ったからだ。どうせ自分はこのクラスどころか、世界中の誰からも必要とされていないと、自嘲気味に笑っていたのを覚えている。






女と出会ったのは、半年前の第二学年進級の際。始業式から一時間ほど経ち、もうほとんどHRが終わりかけた頃に教室に駆け込んできた。頭や肩に、桜の花弁が乗っていたのを鮮明に覚えている。

女はよく笑った。元々明るい性格なのだろう、女は転校初日ですでにクラスの中心的存在になっていた。

私は正直どうでもよかった。友など無用、そう考えていたからだ。






が、

「石田三成くんね!覚えたよ名前!三成って呼び捨てでいい?」

もちろん拒否だ。冷たく突き放すように言ったが、女はめげずに話し掛けてきた。

毎日毎日。







私は学校で恐怖の対象として噂されているのは、自分でも承知していた。輪に入らず、一匹狼。中学校のころの暴力沙汰を引きずっての恐怖だろう。

私なぞ放っておけばいいものを、女は私に構い続けた。

朝に挨拶され、どうしたら頭がよくなるのか、昨日TVは何を見たか、今日は学食なのか、共に食べよう等々。言い出したらきりがないくらいに喋りかけられた、そして私はそれを全て無視あるいは脅した。

ーーーーーそして、女もいつのまにか一人になっていた。








私には恐怖の目があったものの、いじめというものが全くなかった。まぁ、普通恐怖の対象を逆撫でするような行為はいくら奴等でもしないか。

だが、女はポジティブな性格でよく笑い、怒ったところなんて見たことがない。

ーーーーーいじめの対象になるまで、そう時間はかからなかった。

転校一ヶ月で、女の周りでは陰険ないじめが多発していた。

朝机が落書きだらけになり、廊下に転がされている。黒板にはありもしない悪口。靴箱にはごみが大量に詰め込まれている。女にわざと聞こえるように悪口をささやく。

これが毎日続いた。普通なら、学校をやめるくらいにはなるだろう。



次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ