夢小説 短編
□私の友達か曖昧なやつが死にました
2ページ/7ページ
ーーーーーだが、それでも女は笑っていた。
笑いながら机をもとに戻し、笑いながら黒板を消し、笑いながらごみを捨て、笑いながら悪口を聞き流した。そして、笑いながら私に話しかけるのである。正直気味が悪いくらいに。
どうしてそこまで私に構うのか分からない。
皆同様存在をなかったことにすれば、こんな目に遭うこともないだろうに。
ーーーーー気付くと、私は女と言葉を交わすようになった。
挨拶をされれば挨拶を返し、問いかけられれば答える。女が話しかけることがほとんどだったが、会話にはなっていた。
正直、女と接するようになってから学校が楽しく、笑うようにもなった。しばらく使わなかった顔の筋肉が、女によって解されていった。
転校から二ヶ月経つ頃には、家が近いということで共に帰るようになった。
三ヶ月経つ頃には、休日に遊びにいくようになった。
四ヶ月経つ頃には互いの家に呼ぶようになった。
親元を離れて以来、楽しいと思ったのはこれがはじめてだった。女は本当によく笑い、私も自然に笑っていた。
幸せな、時間だった。
それなのに、女は五ヶ月目、首をつって死んだ。
→