夢小説 短編
□三成侵略
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むかーしむかし、まだ日本が群雄割拠の戦国時代、男どもがより高みを目指して争う時代。
そんな世にも、宇宙人というものはおりまして。これはそんなある日、地球に降り立った宇宙人の話でございます。
『ここが地球か……』
決して地球の言葉とは思えない言葉を発しながら、その生物はふぅとため息らしきものをついた。その姿はなんとも奇妙で、紫色のスライムらしきその姿は地球上の生物ではないと誰もが思うだろう。
言うまでもなく、彼は宇宙人である。
『噂には聞いていたが、確かに綺麗な星だ』
辺り一面に広がる緑色の植物、宇宙では珍しい酸素を作り出すらしい。そのおかげでここにすむニンゲンという者達は生活していけるのだという。なんとも幸運な一族だ。たまたま酸素を作り出す植物たちと共存できるのだから。
その反面、ニンゲン達の文明はかなり遅れている。何せニンゲンが産まれたのはほんの数百万年前らしい。それでは遅れているはずだ。
まぁ、今日はそのニンゲンがどのくらい自分達の種族に脅威をもたらすかの調査にきたのだが。
『あのくそ上司め』
太陽系の一斉調査、それで一番害の無さそうなやるだけ無駄の地球にまわされたのは、絶対にあの上司のせいだろう。この前上司のミスを指摘したのがそれほど気にくわなかったのか。あれから僕を目の敵にしているのだ。
『まぁ、いい』
これだけ美しいものを見せてもらったのだ。帰ったらいろいろ感謝の言葉を述べてやる。
『取り敢えず、ニンゲンを見つけなければ……』
この姿では確実にニンゲンに見つかり、捕まえられるのがオチだ。そんなことになれば、調査どころか自分の星に帰ることすら怪しくなる。
そこで僕たちの種族の得意技の披露である。スライムの体をした僕らは、見たものになれる。視界で捕らえたものに自在に変形できるのだ。だからこそ、調査にはうってつけなのである。
『さて、ニンゲンは……』
そろそろと、見た目のわりには滑らかな動きで植物の間を進んでいく。気配を消すのは得意だ、これで危険をおかすことなくニンゲンに化けれるはずだ。
そんなことをおもいながら歩いているときだった。
ドォォオオオォォォン……
『な、なんだ!?』
爆弾が爆発したかのような地響きに、思わず身を固くする。
「イィィイイイエェェエエエエヤァァァスゥゥゥウウウウゥゥゥ!!!!」
『!?』
瞬間に、ニンゲンらしき生物が駆けてくるのが見えた。
ーーーーと思った瞬間にはまるで疾風のごとくものすごいスピードで走っていった。
な、なんなんだ今のは!?宇宙交通規約で指定されている速度と同じ早さだったぞ!?いったい彼は何者なんだろうか。
急いで後を追うために、宇宙船に乗りこみ急発進させた。
『い……生きているのか?』
やっと追い付いたと思ったら、茶色の植物にぶつかったのだろうか。白いニンゲンの目の上の部分が赤く腫れている。
「うっ……」
閉じられた目がピクリと動くが、それ以来動くことない。気を失っているだけのようだ。
『……まぁいい』
ちょうどよかった。ニンゲンを探す手間が省けたな、こいつの姿を借りるとしよう。
ーーーー次の瞬間、紫色のスライムがいた場所には、茶色の植物の下に倒れているニンゲンの姿になっていた。
銀色の毛は顔の中心に集まっていて、逆三角形の形になっている。細身で無駄なものがついていない体だ。
「あ……あー」
生体に異常はなし。いたって健康体らしい。……それにしても、この身に纏っているがちゃがちゃと重い鉄製の物はなんなのだろうか。それとこの長い棒みたいなものは……?
まぁ、これで取り敢えずニンゲンに正体がばれることはないだろう。
地球の言葉は難しいものはまだだが、大体は理解できるし話せる。問題はないだろう。
私はニンゲンの里へ降りるためにとにかく歩くことにした。
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