夢小説 短編

□愛してると言ってほしかった
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「別れるぞ」





















「……え?」






















思いもよらないその言葉に、私は目を見張った。冗談かと問いかけようとしたが、真っ直ぐ私を見るその目は酷く冷めていて、まるで初めて会ったときのような色をしていた。

















突然彼氏である三成に「放課後、教室で待っていろ」と言われ、部活が終わるまでと思い携帯をいじって待っていた。そして日が傾き始め青かった空が朱色に染まり始めた頃、突然扉が開き三成が入ってきた。

そして、別れを告げる言葉が紡がれた。



「……なんで?」

その言葉しか出てこなかった。昨日まで共に帰り、別れ際にはキスをして別れを惜しんでいた。しかも学校公認のカップルで、学校中の人たちが私たちのことを暖かい目で見てくれている。

それなのに、……なんで?

「……」

なにも答えず、ただ私を見るだけのその琥珀色の目は私を映していないように思えた。





「別れるって……、関係を……終わらせるってこと……?」

もしかしたら私のただの早とちりで、違う"別れる"なのかもしれない。ほとんど願望のような思いをかけての言葉だった。





















だが


「そういう意味だ」

三成は顔色を変えずに、私の思いを断つようにきっぱりと言い切った。

全身の毛が逆立つよつな感覚に襲われた。吐き気が込み上げ、立ちくらみがする。現実じゃない、コレは夢なんだ。

三成が、私と別れるなんて、そんな、そんな……!

























「そういうことだ、これ以降私に関わるな」

そんな私に見向きもせず、ただ淡々と喋る三成が、三成とは思えなかった。



そのままきびすを返し立ち去ろうとする三成に、私はすがり付くようにその裾をつかんだ。

「待って……!なんで?どうして!?」

理由が聞きたかった。



















「……貴様は私を裏切った。裏切り者に用はない」

「裏切った……?なんのこと?」

彼が何を言っているのか分からなかった。三成が最も嫌い憎む裏切り。それを知っている私が裏切りなんて、するはずがない。そもそも彼を裏切る道理がない。















「……危うく私は貴様に騙されるところだったな」

「何、言ってるの……?」
















ぱんっ

「っ……!」

裾をつかんでいた手がはたかれ、じんじんと痛みだす。その拒絶的な瞳に、行動に、彼は本気なんだと思わざる得なかった。




「触るな、汚らわしい」









































三成……、どうして……?

私のこと、好きだって、言ってたのに。

高校卒業したら、一緒に住もうって約束してたのに。

ねぇ、どうして?

三成がいなきゃ、私どう生きていけばいいの?三成が、三成だけが支えだったのに。























三成がいない生活なんて、耐えられないよ。

















瞬間私の体は宙を舞っていた。


















その手に握られているのは、彼に送るはずだった銀色の羽を型どったペンダント。


























愛してると言ってほしかった





(身体中が痛くて呼吸ができない)


(でもそれ以上に)


(心がいたい)


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