短編
□悪魔と笑ふ
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『サタンの息子である、奥村燐を処罰する』
この決定は、すぐにメフィストにも届いた。
* * * *
「なんで、兄さんが処罰されなきゃいけないんだ!!」
ダンッ!!と発泡された銃弾は、壁に突き刺さっている。
目の前で怒りに震え、殺意を露にしているのは、かの少年の弟だ。
「仕方ありませんよ。上がそう決定してしまったんですから」
ツ…と唇に弧を描いているのが自分でもわかる。
末の弟は、悪魔だ。
しかし、その弟の弟は、悪魔ではない。
そんな悪魔ではない人間の弟が何をするのか。
それを考えるだけで、身体が歓喜に震えた。
「…………」
「……兄…んは、ぼ、……られ、いれば………んだ」
ぼそぼそと何かを言っている。
それが聞こえたメフィストは、クスリ、と笑みを深くした。
「まあ、せいぜい頑張って下さいよ?奥村先生」
―――外では、雷鳴が鳴り響く。