短編

□君の笑顔に堕ちる
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「日向、だいぶ上手くなってきたね」

「えへへ」


ふわふわの頭を撫でる菅原は、優しい瞳で日向を見ている。


「しょーよー!!」


ぎゅむりと後ろから抱きつかれ、体が少し揺らいだが何とか保つ。



「ふわっ、なんですか?」

「今日はコンビニで何か奢ってやるよ」

「ホントですか!?」



嬉しそうに跳ねる日向。
それを影山や月島は、物凄く不機嫌そうに見ている。


「お前ら…休憩はちゃんとしろよ…」


はあ…と澤村が溜め息を吐いた。




* * * *




「今日も楽しそうですね」

「んあ?ああ、そうだな」


後ろを振り返って見ると、頬を上気させながらやって来た武田。

烏養は、体育館まで走ってきたのだろう武田の頬に、ピトリと自分の手をくっつけた。


「……冷たくて気持ちいいです」


ふにゃ、と笑う彼に烏養は、そうかと答えた。


「皆、どうですか?」

「何時もみてーに元気な奴等だよ」

「……みたいですね」



視線を逸らせれば、日向を中心として集まっている部員達。その部員達の瞳は、優しくて甘い。他人から見ても、日向が好きなんだとわかるくらいに、だ。それなのに好意に気付くことのない日向は、鈍感中の鈍感なのだろう。



「青春を謳歌してるって感じですね」


「だな。

にしても、アイツラを見てる時のお前、たのしそーだな」


「そうですね」


ふわっ。その笑みが幸せそうに見えた。

烏養は一瞬、目を見張ったかと思うと眦を緩ませ、笑みを浮かべた。





君の笑顔に堕ちる
(その笑顔は自分だけが見れる特権)

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