短編

□白銀の男。
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「…………え?……ニャンコ先生…?」


「そうだ。フフン、どうだ、夏目?私の擬人化は麗しい姿だろう」



白煙が無くなるとそこには、丸いいつもの姿はなく、長身の超絶美形の男が立っていた。

喋り声(あの大きな姿の時)や自画自賛をするところは、ニャンコ先生だ。

しかし、どうも何時も見ているニャンコ先生の姿が大きすぎて同一のものとは思えない。



「ん?夏目、どうしたのだ?そんなに私の姿に見惚れたか?」


「…………」



ニャンコ先生の姿は、白銀の長めの髪に頭にはちょこんと耳がついている。しかも、ふさふさの尻尾付きだ。服は黒い着物に白の羽織り。その羽織りは肩にかけ、袖を通していないようだが。身長は、名取さんや的場さんよりも高いようだ。肌も透き通るように白い。



……とりあえず、なんかムカついた。





「……ニャンコ先生、ところでここは何処?」

「信仰のなくなった神社だ。近くにあったから私が運び込んでやったのだ」


ふん、と鼻を鳴らすニャンコ先生。



「…んー……とりあえず、ありがとう、ニャンコ先生」


「………当然のことだ。今、夏目が他の妖に獲られ友人帳を盗られたら最悪だからな」



そっぽを向いてしまうニャンコ先生。

それを見て、クスリと笑うとニャンコ先生が反応した。


「ムッ。なんだ、夏目!」


「なんでもないよ、ニャンコ先生。
さ、早く帰ろう?」



にこ、と笑えばニャンコ先生がはあ…と溜め息をついて。



「そうだな」


ひょいと身体を抱き上げられ、神社を出ると地を蹴り、遥か上空へと舞い上がった。




* * * *




後日。
名取さんが訪ねてきて、その後に的場さんも俺を訪ねてきた。
理由を問うと、俺が美形で白銀の髪を持った男といたかどうかを確認しに来たらしい。
俺は、嗚呼ニャンコ先生のことかと思い、確かにいました、と答えると二人は落ち込んだ様子ですぐに帰った。
……なぜ落ち込んでいたのだろう?
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