short story

□in bed
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〈 in bed 〉
 


淡いオレンジの光

事情後のゆったりと流れる時間の中

ダブルベッドの上で、付き合って2ヶ月も経たない男女がいた。


男の隣にいるのは、長い黒髪の肌の白い美しい女。

女の髪は、夜通し起きていたにも関わらず未だ艶を残している。

それはなんとも美しいものだった。




「ねえ。」



キミはいつも、優しい声で僕を呼ぶ。



「私のこと、好き?」


「うん。一番に好き。」



僕はいつも、そう言ってキミにキスをする。



「…ふふ。大好き。」



そうやって微笑まれると、もっと好きになる。


それを君は知らない。



「ねえ、今日、休みでしょう?」

「うん、そうだね。」

「じゃあ、どっか行かない?」



…へぇ。



「珍しい。」


「いいでしょたまには。」



少し口を尖らせながら頬を赤らめた。



「うん。毎日でも嬉しいよ。」



その仕草が愛しくなって、艶やかな髪を優しく撫でた。



「バーカ。」



また照れたように言った。


『バカ』というのは、キミの照れ隠しだ。

いつもする照れ隠し。


それが僕はひどく好き。

愛しくて愛しすぎて、どうにかなりそう。


それをやられるだけで、クラクラする。



「可愛い。」



小さい体を優しく抱きしめる。

ふんわりと、甘い香りがした。



「…直球で言われると結構あれなんだけど。」



なんともあやふやな声が返ってきた。



「あれってなに?」

「いや、なんか、別に、なんでもないけど。」



声はどんどんボリュームが下がって、最終的に黙り込んでしまったキミ。



「はは。」



思わずそれに笑ってしまった。



「なにそれ。笑うって何よ。」



僕の胸の所で頬を少し膨らませながら上を向いたキミ。


あーもう、参るんだよな、そういうの。



「いやー、ほんと可愛いなって思って。ふふ。」



幸せっていうのは、溢れてくる。溢れて、微笑みとなる。



「…だから、直球で来るなっての。」



キミはさっきより頬を膨らまして、顔を赤らめて、僕のおでこにデコピンをした。



「うわっ痛い」

「誰のせいよ。」



見るからに不機嫌そうなキミ。


それもなんとなく愛おしくなった。



「んー、俺のせいだよね。」


「そうに決まってんでしょ。」




そのあと沈黙の空白があり、二人で笑いあった。




「幸せって、最高だよね。」


「…バカ。」




バカでごめんね、愛してる。




 

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