short story

□Love overflowing
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〈 Love overflowing 〉



私には彼氏がいる。




その彼氏は、


「愛情表現が難しい」


と言って、いつも抱きついてくる。




一年前、雨の中に濡れながら公園に佇んでいたのである。

夜中だったから、誰かがいるはずもなく、なんとなく話しかけた。


「……寒くないんですか?」


突然のことに彼はビクッと肩を震わせたあと、私を見て笑って言ったのだった。


「水好きの猫ですから、寒くないです。」




そして、なんとなく今日まで同棲している。

結局、彼は猫らしい。

こんなことが世の中にあるのかと、不思議に思う時が多々ある。



でも、面倒を見なくてはまたどこか遠くに行ってしまいそうで、見捨てることは出来ない。



さらに、無駄にイケメンなのだ。

そして、髪の毛がサラサラ。

スタイルも良し。

声も低音でハスキー。




その魅力に、やられてしまった。





「あのさぁ、すー。」


お風呂のドアがいきなり開いた。


「えっちょっと待って入ってこないで!」


すぐさまドアを閉めた。


「えー、酷いなー見たかったのにー」


ドアの向こうで変態発言をしよる猫。


「バカじゃないの。上がるまで待ってて。」

「……うーい。」


きっと口を尖らせているんだろう。猫のことだ。

上がったら撫でてやろう。

そう思って、また湯船に浸かった。



お風呂を上がって、タオルで髪のを拭きながらリビングへ向かうと、ソファーの上で丸まっている猫がいた。


「……どうしたの?眠い?」


猫はいつも遅く寝る。

でも私と一緒に布団に入ってくれて、私が寝たら本を読み始める。

結構前にこっそり目を開けたらそうしていた。


「違う。すー。なんか、寒い。」


彼は私のことを「すー」と呼ぶ。

名前が「鈴」だからだ。

なにかとすーすーすーすー呼ぶから、最初はおかしいと思っていた自分も途中から違和感が無くなってきた。


「毛布、持ってこようか?」


そんなに寒いか?と思うながらも、一応聞いてみた。


「……うん。」


寂しげな顔でそう言った猫を横目に、私は寝室に向かった。

風呂の間に入ってきた時と全然テンションが違うが、これもしょっちゅうだ。

所謂変人。

コロコロテンションが変わる。

未だに対応できないパターンもあるぐらい。



「……ほら、持ってきたよ。」


持ってきた毛布を猫にかける。


「…ありがとう。」
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