僕らの生きた日々

□君と離れて
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斎藤side

俺は、土方さんの命で光希の見張りについていた

戦いたいと願う光希

その気持ちを俺は尊重したいと思う
しかし、光希を危険にさらしたくもなかった

どちらを優先するべきなのか……答えは、まだ出ていない


その時、光希が家から出てきた
その背には、しっかり木刀が背負われている


光希――
あんたは総司にあんなことを言われた後でも、戦いたいと思うのか……

なぜ、それほどまでに戦おうとする?

何のためだ……


俺は、この時心に迷いがあった

光希を何がここまで動かせるのか

わからない

何故だ



「――礎になんかなりません!」

光希の叫ぶ声で、ようやく正気に戻った

気配を消し、様子をうかがう


あれは綱道さん
羅刹は大体二十人前後

一人を襲うにしては多すぎないか?

「私の大切な人を傷つけないでください!!!」

この時、俺は悟った

光希は……総司のために、戦う道を選んだ

俺が光希を守りたいと思うのと同じように、光希もまた、総司のことを――

理由はわからないが、心臓が締め付けられるようだった

苦しい



「……ぅっ…!」



「光希……!」

飛び出して羅刹を斬り伏せて行く

間に合わない――!

「……おや、斎藤一さんではありませんか
随分と遅い到着、感謝します」

綱道さんがわざとらしく言い残し、光希を抱えて踵を返した

「待て……!」

綱道さんに近付こうとするが、羅刹が道を阻んで進めない



――光希……!


全ての羅刹を斬り伏せた後には、もうすでに二人の姿はなかった
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