MAIn。

□ぎゅー
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大きなベッドとつくえしかない小さな僕の部屋で。




“ぎゅー”







僕はみんなの中で唯一一人部屋。
すこし、悲しいけどマネージャーとかメンバーのみんなが遊びに来てくれるから平気。



でも今日は、部屋どころか家の中に誰もいない。

流石に怖いし、悲しいし、寒い。



ひとりぼっちで暗い部屋にいると、いつか暗闇に閉じ込められそうだな、なんて思った。


「なにもいないなにもいない」


呪文を唱えるようにつぶやく。

でもやっぱり怖いから、リビングにいってテレビをつけてソファの上で丸まっていた。

そしたら一番奥の部屋からガタガタ物音が聞こえる。


「ま、まさかね。」


冷や汗が額ににじむ。

僕は勇気を出して奥の部屋の扉を開ける、そう決めた。


「よし、大丈夫……ふー」

本当は大丈夫なはずがない。
手汗が止まらない。

「大丈夫大丈夫」


ガチャっ

僕は勢いよく扉を開けた。

中で大きなクマのような物体が動き出す。
目を瞑りながら叫んだ。

「キャー、化け物、でていけ‼‼」


「……たお?俺だよ?」

「しゃべった‼誰だ‼泥棒か‼」


「…クリスです。隊長です。」


「え?隊長?」

僕が上を向いたらクリスが驚いた眠そうな顔してる。

「クリスだ‼」


僕はクリスに抱きついた。
抱きついた拍子にクリスが後ろに倒れ込んだ。


「クリス!おかえり!」


「ただいま、たお。俺だいぶ前からいたよ。」

「クリス、どこにいたの?」

「部屋だよ。一人で寝てた。」

「ちぇんちぇんは?」

「しうみんひょんとお出かけだよ。」

「あー、クリス、会いたかった!」


「うんうん、わかった、わかったけど僕の上からはおりて。」

「わかった。でも他になにかないの?」

「えぇーっと、いつだれがどこでみてるかわからないんだから宿舎にいてもクリスひょん、と呼ぶこと。」


「わかった。もっと恋人っぽいなにかないの?」

「わかったわかった、でも今時間が時間だよね。」

「うん。朝の2時30分だよ!」

「こんな時間にそんなこといわれても、いつもみたいにぎゅーだけじゃとまらなくなるから、今日はなしね。」

「なんで〜、僕シたいよ〜」

「お前は明日なにがあるか考えて下さい。」

「歌番組表の収録と歌謡祭」

「腰の事も考えてから言ってくださいね。はい、子どもは寝なさい。」


いつもそうやってはぐらかすから僕は今日こそ負けてやらないと思った。
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