MAIn。
□だって。
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だって、はずかしいじゃんか。
だって。
「ひょん、しうみにひょん、」
タオは毎朝こうして僕の体を揺さぶる。クリスに頼まれて、毎朝毎朝やってくる。
だけど、今日はタオの声がすこし違う気がする。寝ぼけかな。
「しうみにひょん!ぱおず!起きて下さい!」
「うるさいなっ!ぱおずじゃないよ!」
目を開けて怒鳴ると、タオじゃなくてチェンがいた。
「ギャー‼」
僕がものすごい大きな声を出して叫ぶと、メンバーがみんな集まってくる。
「どうしたぱおず!」
るぅはんがびっくりした顔して駆けつけた。後ろからドタバタとクリスとタオ、最後にとぼとぼとレイがやってきた。
「ちぇんちぇんなにしてるの!」
タオが鋭い目を大きく見開いてチェンのことをベッドから落とす。
チェンが僕の上に四つん這いになって乗ってたから、みんな誤解してる。
「タオ、痛っ!殴るなよ!起こしただけだよ!」
「なんだぁ、それだけかぁ〜。」
「心配するからあんな大きな声出さないでよしうみにひょん。」
レイとクリスが薄く笑いながら部屋を出て行く。
「ぱおず、なんでそんな顔赤いの?」
るぅはんがにやにやしながら聞いてくる。
「赤くない!」
「超あかーい」
「しうみんかぜ?」
るぅはんとタオが質問攻めにしてくる。
「かぜじゃない!ご飯食べてくる!」
僕は顔を赤くしたまま走って出て行った。
「ぱおずこわ〜い。せふなに電話しよ〜」
るぅはんも楽しそうについてくる。
「ちぇんちぇんごめんね。」
タオとチェンのやりとりが部屋から聞こえる。
その日の朝は僕とチェンの二人きりだった。
タオ曰く
ちぇんちぇんがずっと待ってた
らしい。
他のみんなも各自で準備を始めちゃって、リビングに二人っきり。
ふたりっきり。
意識しすぎてご飯が喉を通らない。最近僕はいつもこうだ。
「ひょん?ベーコンたべないならもらっちゃいますよ?」
「だめ!食べるよ!」
今みたいに、緊張して冷たくしてしまう。
「ひょん……やっぱりまださっきのこと怒ってます?」
「え?お、怒ってないよ」
「なんだ、嫌われちゃったかと思った」
なんでそんなにうれしそうなんだよ。目がなくなるぐらい笑うチェンの顔が愛おしい。
じっと見つめてたら、胸がはち切れそう。
「やっぱり、ベーコンいらない!ごめん、食べない!」
よくわかんないこといっちゃった…最悪…
ちぇん、本当にごめんなさい…
僕どうしたらいいんだろ…