界と界

□背中合わせの恋心
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「……隊長はやめろ」
「へーい。コンラッド」

言い直して、もう一口酒瓶をヨザックが傾けたのに誘われて、同じように瓶に口づけた。
特に話題がないせいか、沈黙ばかりが横たわり、時折吹く風が頬を撫ぜて、髪を弄んだ。互いの首や頬に触れる髪が擽ったく、払おうとすると、タイミングが合ったせいで、指先が触れ合った。

「伸びましたねぇ。髪」
「久しく切ってないからな」

ぱさぱさと、指通りも滑らかなわけではない手入れされていない髪は、確かに長くなったと思う。

「そういうお前も長いだろ」
「まぁ、伸ばしてますから」
「……初耳だ」

本当に初耳だった。
詳しく訊いてみようと、酒から口を離して、足の間に置いた瞬間、背中にいきなり体重がかかって前のめりになる羽目になった。

「おい!」
「コンラッド。俺はいつだってあんたの味方だ」

不満の言葉は、その詞によって打ち砕かれて飲み下すことになった。

「あんたが望む限り、傍にいるから安心しろ」

ふっと背中が軽くなって、上体を起こす。再び、憎らしいぐらい広いヨザックの背中に背を預ける。お返しに頭を肩に載せてやった。
互いの表情は見えないが、それでもお互いが笑っているのを空気で悟る。

「望む限り?」
「そう、望む限り」
「一生と言ったらどうするんだ?」
「じゃあ、あんたの嫁にでもなりますか」
「……気色悪いな。それは」




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