界と界

□蛍行灯
4ページ/5ページ


コンラッドのきつい締め付けが徐々に解れていき、快感を滲ませて流れていく雫を指に絡めて扱きながら、腰を大きく打ち付け始める。

「ひゃぁぁぁ…ん…あぁぁ……ヨザぁ」
「……コンラッド」

余裕のない二人はすぐに絶頂に登り着く。

「んぁぁぁ……ヨザ…もう…ダメ」
「一緒に」

先にイキそうなコンラッドを戒めて、最後を走る。
浴衣は肩までずり下がって胸を大きく開けさせ、足も開かせて自身を受け入れるその姿は凄艶で婀娜めいている。
汗を落とすと、コンラッドが抱きついてきた。

「一緒だ……ずっと…」
「あ…ふぁ…ん…ヨザぁ……」

抱き締めて、最奥まで貫くと頭が真っ白になるくらいの絶頂で爆ぜる。
ふわりと舞うような浮遊感の直後、訪れるのは心地良い気だるさ。
二人は抱き合ったまま、荒い息の合間に口づけを交す。
汗のしょっぱい味に苦笑して、コンラッドと額を合わせる。

「……かなり良かった…」
「……ん」

啄む口づけを交して、笑い合った。落ち着きを取り戻してから、川の水で後処理をし、川の畔に座り込んだ。
夏の星空を眺めては、星座の名を口にする。星の逸話を口にして、沈黙すると、冷たい水の感触に意識を取られる。

「なれるなら、星になりたいなぁ。俺」

突然の一言に、一瞬なんのことだと思ったが、先程の蛍の逸話に関する呟きだったらしい。
夜闇の絨毯を指で示して、ヨザックはにっと笑った。

「……クサイ台詞だ」
「まぁ、死なないがな。まだ当分は」
「ヨザはしぶとそうだ」
「それが取り柄だからな」
「確かに」

ひらひらと瞬く蛍たちは、ゆっくりとどこかに集まるように飛び去る。

「帰るか」
「そうだな」

草葉を払って立ち上がると、ヨザックが左手を出してきた。

「たまにはいいだろ。こんなのも」

誘われて、右手を出すとその少しばかり大きな左手に包まれた。

あの幼かった日のように。

片方の手には祭りの残り香。片方の手には愛しき人。
噎せるような夏の匂いと反するような涼しい夜風。
からりころりと下駄が鳴り、夜の帳は一層深くなる。

蛍飛び交うある夜のこと。



Fin.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ